デュアルリニアアレイ(DLA)プローブは、従来の超音波探傷法における二振動子型探触子と比較し、特に腐食検査において、より多くの利点があります。この超音波フェーズドアレイ・ソリューションでは、ビームの検査範囲が広い、スキャン速度が速い、C−スキャン画像のデータポイント密度が高いなどの特長があり、より効率的な探傷を行うことができます。ピッチキャッチ法を採用したことにより、腐食検査用途において標準的なフェーズドアレイ・パルスエコー法よりも優れた表面近傍の分解能と減肉検出を実現できるため、従来は難しかった腐食部分の孔食の検出能力が向上しています。
また、パイプの曲面に合わせて加工可能な着脱交換式の遅延材や、内蔵型の給水機構などの新機能により、DLAプローブを用いてオート検査を実行することができます。
プローブの特長
- 表面近傍1mmの欠陥検出能力
- 着脱交換可能な遅延材
- 内蔵型の給水機構
- 高温表面のスキャンが可能な高温対応オプション
- 最大32mm幅のビーム範囲
- すばやく調整可能なシステムにより、径約100mmの曲面から平面までの測定に対応
- ウエッジを保護するカーバイドウェアプレート
- 検査可能な標準的な深さ:1〜80mm(炭素鋼)
- USBキーに保存可能なOmniScan構成ファイル(OmniScan MX/ MX2/SX)
OmniScanソフトウェアの特長
- 側面図、断面図、上面図を取得(B−スキャン、S−スキャン、C−スキャン)
- 高分解能A-スキャンの全データを保存
- 二つの検出ゲートを設定可能
- OmniScan探傷器またはOmniPC搭載のコンピューターによるオフライン解析機能
新しい機能、新たな可能性
超音波フェーズドアレイ探傷器OmniScan
SXとデュアルリニアアレイ(DLA)プローブを組み合わせて使用することにより、ローコスト版の腐食検査ソリューションを実現することができます。セットアップと操作は簡単で、設定ファイルを読み込み、校正を確認した後に探傷を行い、その検査データを保存します。パルサーレシーバーは不要です。
DLAプローブは、エンコーダーを用いた特定領域のマニュアルのスクリーニングや、モーター駆動のMapROVERスキャナーを用いた全領域のマッピングなどで、C−スキャンデータをすばやく簡単に収集することができます。プローブの姿勢を安定させる機構に、新たな給水機構とパイプの曲面に合わせて加工可能な着脱交換式の遅延材を組み合わせることにより、径約100mmのパイプ表面でも優れたデータをスムーズに収集することができます。さらに、150℃の表面温度の探傷が可能な高温対応オプションのDLAプローブもラインアップしています。
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MapROVERスキャナーとDLAプローブを組み合わせたオート検査。
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デュアルアレイによるピッチキャッチ法
二振動子型探触子と同様に、デュアルリニアアレイプローブは、斜めに加工された遅延材に送信用と受信用の振動子が個別に配置された構造となっています。この構成により、検査の対象部分の表面下に集束するビームが生成されます。このビームは、表面反射の振幅を大幅に低下させます。このため、表面近傍の分解能が高まり、孔食、クリープ損傷、水素誘起割れなどの重大な欠陥をより検出しやすくなります。
ピッチキャッチ
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パルスエコー
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ピッチキャッチ法による境界面エコーは、フェーズドアレイ・パルスエコー法のものと比べてかなり小さいので、より良い表面近傍の分解能を取得できます。

炭素鋼製の配管に生じる腐食を測定したB-スキャン画像