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超音波フェーズドアレイ チュートリアル - 目次

ビームの形成

どのような超音波検査システムであっても、その出力(レスポンス)は次の要素の組み合せに依存しています:使用される探触子、装置のタイプ、およびセット方法、そして試料の音響特性。
フェーズドアレイプローブが生成する出力は、他の非破壊検査用超音波探触子の場合と同様、①周波数、サイズ、メカニカル・ダンピングといったプローブの設計パラメーター、②プローブの駆動用に利用される励振パルスのパラメーター、の双方に関係しています。

以下に示す四つの探触子パラメーターは、相互に関係しながら装置性能に多くの影響を与えています。

周波数:前章で述べたように、検査周波数は近距離音場限界距離と指向角に重要な影響を与えます。高周波は低周波と比べてSN比で優れています。その理由は、高周波はよりシャープなフォーカシングが可能であり、その結果、集束点を小さくかつ適正化することができるためです。どのような試料においても、透過率は周波数が高くなると共に逆に減少します。これは周波数が高くなるのに伴い、物質での減衰が増加することによります。アプリケーションが非常に長いビーム路程または非常に減衰、散乱の多い試料を伴う場合、低周波数を使用することが必要となります。産業用フェーズドアレイプローブの周波数は、通常1MHz~15MHzです。

振動素子サイズ:アレイの中の振動素子個々のサイズが小さくなるのに伴い、そのビーム・ステアリング性能は増します。商品化されているプローブの振動素子で実用的な最小サイズは、通常、約0.2mmです。しかし、振動素子サイズが一波長以上になると、不要なサイド・ローブが強く出現します。

振動素子数:アレイの中の振動素子数が増加するのに伴い, プローブが物理的にカバーする領域、感度、フォーカシング性能、ステアリング性能も増加します。しかし、大型アレイを使用する場合、しばしば機器システムが複雑になり、費用もかさみます。従って、大型アレイが持つメリットとデメリットの双方を対比させて判断する必要があります。

ピッチと開口幅:ピッチは個々の振動素子間の間隔です。ステアリング範囲を最適化するためには、ピッチを小さくする必要があります。一方、開口幅はパルス発信振動素子の有効サイズで、通常は発信タイミングが同時に制御される個々の振動素子のグループから構成されています(バーチャル開口幅)。感度の最適化、不要な指向角の極小化、さらにフォーカシング性(収束性)の強化のために、開口幅を大きくする必要があります。今日の超音波フェーズドアレイ装置は、フォーカルロウの同時励振数を通常で16振動素子、さらに進んだシステムでは32振動素子、中には64振動素子までサポートしています。

フェーズドアレイビームを一般的に理解するためのキー・コンセプトは、以下のように要約できます:振動素子グループは予めプログラム化されたフォーカルロウに従ってパルス信号が制御、発信されます。このことにより意図したプローブの開口幅とビーム特性が生成されます。

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