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渦流アレイチュートリアル

渦流探傷の長所と短所

特定の仕様や規制を満たすために非破壊検査(NDT)を必要とする業界で働いている場合、利用可能な検査法と、最も効率的で予算に見合う機器はどれかを理解することが重要です。そのような検査法の1つが渦流探傷(ECT)です。最も単純な形式では、単一コイルの渦流探傷プローブに銅線を使い、電流を流します。銅線では、その内部を通る電流と同じ周波数で振動する磁界が生じます。探傷プローブを導電材料に近づけると、銅線内を流れる電流と反対方向の電流が材料内で誘導されます。これを渦電流といいます。試験体内の欠陥が、この渦電流の経路を阻害すると、プローブを使用して検出できます。この手法は、自動車や航空宇宙の製造・エンジニアリングなどの業界で一般に使用されています。

非破壊検査機器では結果を得るためにさまざまな技術が用いられています。これらの利点と制限事項を理解して、業務について最適な判断ができるようにすることが重要です。本資料では、渦流探傷の長所と短所について取り上げます。
 

渦流探傷の長所

健康と安全に関わる産業では、材料内の欠陥を検出する技術を用いることが不可欠です。このセクションでは、渦流探傷の長所について説明します。

表面の欠陥に対する感度:ほんのわずかな欠陥が、炭素や鉄鋼などの材料の強度を弱め、特定の安全規格に準拠しなくなる場合があります。渦流探傷器では、良好な条件下で0.5 mm(0.02インチ)の長さの欠陥を正確に検出できます。

複数層越しに検出:複数層構造の材料を扱う場合、渦流探傷器では平面界面からの干渉を受けずに、最大14層の深さまでの欠陥を検出できます。

高速かつシンプル:高速、シンプル、確実な渦流探傷法は、定期検査を実施していて速度を重要視している場合には理想的です。

材料の導電率を測定:渦流探傷では、材料が熱や電気を通す力を測定できます。これは特定の用途の材料を選択する際に重要な要素になり得ます。

非導電性コーティングを測定:コーティング測定には精度が求められます。自動車や航空宇宙などの産業では、コーティング材の損失によって安全規格への準拠が損なわれることが多いため、正確な測定が極めて重大です。渦流探傷は多用途に対応できることから、非導電性コーティングの測定に実用的な検査法です。実際、陽極被膜や大半の非導電性コーティングを測定可能です。

高速回転スキャナーと表面プローブを使用した高速の穴検査:効果的な渦流探傷には、回転スキャナー、回転プローブ、検査結果のデータを記録および表示する装置が必要です。渦流探傷器は速度と効率性に優れているため、NDTボルト穴検査に広く用いられています。

携帯性:渦流探傷器は小型で軽量なので、現場に簡単に持ち運べます。

機器の自動化が可能:比較的均一な試験体は、自動または半自動機器を使用して速く正確に検査できます。

非接触検査:渦流探傷器は、正確な測定を行うために試験体に接触する必要はありません。
 

渦流探傷の制限事項

ここまで渦流探傷の利点について説明してきましたが、用途に必要かどうかを把握するために、短所に注目することも重要です。渦流探傷の制限事項は以下のとおりです。

透磁率の変化の影響を受けやすい:透磁率がわずかに変化しただけで、溶接部やその他の強磁性材料の検査が難しくなります。

導電性材料のみに有効:渦流探傷を使用できるのは、電流が流れる材料に対してのみです。

表面に平行な欠陥は検出されない:渦電流の流れは表面に平行です。つまり、渦流探傷器では電流と交差または干渉しない欠陥を検出できません。

信号の解釈が必要:渦流探傷に影響する可能性のある要素は多いです。関連のある欠陥指示かどうかを見分けるために、信号を慎重に解釈する必要があります。

広い領域には適さない:広い領域への渦流探傷には、スキャン装置の助けが必要です。複雑な形状の場合も、欠陥の信号と形状効果の信号を区別しにくくなります。
 

渦流アレイ探傷の長所

渦流アレイ探傷(ECA)は、検査プローブ内に並列に配置した渦電流コイルを電子的に駆動させる非破壊検査法の一種です。各コイルが信号を生成し、試験体の位相と振幅に応じて信号の強度が変わります。この信号は測定可能で、データを記録して検査を実行します。

渦流アレイ探傷には、渦流探傷に勝る利点がいくつかあります。

検査時間を短縮化:マルチコイルプローブを使用することで、材料をシングルパスでスキャンできます。スキャンにかかる時間はほんの数分なので、従来のECTやその他の特定のNDT法(磁粉探傷(MPT)など)より速くなります。

1回のスキャンで広い領域を検査:複数のコイルを使用することで、シングルパスで検査を完了できます。シングルコイルプローブでは、材料を複数回スキャンする必要があります。

検査を単純化:プローブを動かすために必要な複雑な構造やロボットなどによるスキャンシステムが単純化されます。

複雑な形状を検査可能:渦流アレイプローブは検査対象の形状に合わせてカスタマイズできます。これによって、複雑な試験体に伴う検査の制限が軽減されます。

リアルタイムマッピング:渦流アレイ探傷ではリアルタイムで対象領域がマッピングされるので、データ解釈が容易になります。

精度の向上:渦流アレイプローブを使用すると、確実性と欠陥検出率(POD)が向上します。

渦流アレイ探傷は幅広い産業で行われています。鉄鋼の厚さ測定や腐食検出に使用できます。渦流アレイ探傷独自の利点は、マルチコイルプローブを多様な材料に使用できる点にあります(容器、カラム、貯蔵タンク、球体、パイプシステム、構造的な用途など)。

本資料は、ご自分の用途に渦流探傷法が適切かどうかを判断するのに役立つはずです。渦流探傷器に興味がある場合は、オリンパスに用意されている渦流探傷器プローブのラインナップをご覧ください。

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