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テープリフトサンプリングとは

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コンポーネント清浄度検査のテープリフトサンプル用サンプルホルダー

テープリフトサンプリングは、対象物の表面から粒子を取り除いて表面清浄度を判定するための、迅速でシンプルな技法です。感圧接着テープを試験体表面に貼り付け、表面にある粒子をテープに直接移します。粒子が付着したテープを特殊なテープリフトホルダーに載せて、光学顕微鏡で検査します。

テープリフトサンプリングは、産業用に製造された部品(航空宇宙、宇宙技術、電子機器、ソーラーパネルなど)の表面に、製品性能と信頼性に影響するおそれのあるコンタミがないことを確認するための重要な方法です。

このブログでは、標準技法、ワークフロー、工業用清浄度検査で使用するアクセサリーなど、テープリフトサンプリングの仕組みについて詳しく説明します。

工業用清浄度検査におけるテープリフトサンプリングの考慮事項

この技法では、対象物の表面に粘着剤が残らないように適切なテープを選択します。清浄度検査用テープで最も一般的なのは、透明で均一な粘着性があるものです。米国材料試験協会(ASTM)では、3M No. 480ポリエチレンテープ(アクリル感圧基材付き)を推奨しています。

テープリフト法は、テープを貼り付けても損傷しない表面に使用することを目的としています。一般に、金属、金属コーティング、酸化被膜は損傷しません。塗装、蒸着、光学コーティングへの使用は、この検査を行う前に評価する必要があります。

サンプリング領域のサイズと位置は、広い領域の表面清浄度を正しく推定できるように、統計的に判断します。ASTM E1216-11(テープリフトによる粒子コンタミサンプリングの標準技法)などの関連する標準手順に従い、表面形状と、気体流、重力、障害物に対する表面の向きを考慮して、サンプリング計画を定めます。これらの要素は、粒子の降下や表面粒子の取り込みに影響する可能性があります。

重要な考慮事項の詳細については、ASTM E1216-11標準技法をご覧ください。

工業用清浄度検査におけるテープリフトサンプルの収集方法

ASTM E1216-11標準技法の場合、テープリフトサンプリングの標準的なワークフローには以下のステップがあります。

  1. テープハンドリングとサンプリング中は、リントフリーのニトリル手袋を着用してテープをコンタミから保護します。テープを二重にしてフラップを作ります。帯部を折りたたんでつまみにします。こうするとテープを処理しやすくなります。
    テープリフトサンプリングでのテープの引き出し
  2. テープの端を貼り付けて引き出します。テープを対象領域に押し付けます。このとき、テープがテープリフトホルダーを覆って保持できるように、十分な長さにします。ASTM規格では、12 cm以上の長さを推奨しています。
    テープリフトサンプリングでのテープの貼り付け
  3. ゴムローラーまたは手の端で均一に圧力をかけて、テープを表面に押し付けます。ゴムローラーの方が均一な圧力をかけられるのでお勧めです。粒子が破損する場合があるので、強く押しすぎないでください。
    テープリフトサンプリングでのゴムローラーによるテープの押し付け
  4. テープを必要な長さまで押し付けたら、ハサミでロールから切り離します。貼り付けていない方の端が表面に直接かかって貼りつくと、はがすのが難しいので気をつけてください。
    テープリフトサンプルの端の切り離し

顕微鏡解析用にテープリフトサンプルを載せる方法

コンポーネント清浄度検査のテープリフトサンプル用サンプルホルダー

CIX100工業用清浄度検査システムにテープリフトサンプルを搭載するためのサンプルホルダー

サンプリングが終わったら、テープリフトサンプル用の適切なホルダーにテープを載せて、顕微鏡解析に備えます。Evidentでは、OLYMPUS CIX100工業用清浄度検査システムに対応する、粘着テープ専用サンプルホルダーを用意しています。ホルダーには運搬ボックスが付属していて、運搬中の不要なコンタミを防げます。

ホルダーの詳細については、下のビデオをご覧ください。

テープサンプルの搭載ステップは以下のとおりです。

  1. 対象物の表面にテープを貼り付けたらすぐに、ゆっくりと一定の力でテープをはがします。テープをフレームに平らに貼ります。マーキングに注意してテープを中央に貼り付けます。
    テープリフトホルダーへのテープリフトサンプルの貼り付け
  2. 金属フレームに均一に引っ張らずに貼り付けるため、ゴムローラーでテープをフレームに押し付けます。
    ゴムローラーを使ったテープリフトホルダーへのテープリフトサンプルの押し付け
  3. 粘着テープの両側を切り落とします。後で扱いやすいように少し端を残します。
    テープリフトサンプルの端の切り落とし
  4. 必要な場合はテープを調整します(強くしわが見える場合など)。粘着テープはマーキングにできるだけ近づけて中心に貼ります。テープの中心が検査領域であり、端に安全マージンがあります(通常は約6 mm)。
    テープリフトホルダーでのテープの調整
  5. テープリフトホルダーを運搬ボックスに入れます。運搬中は粘着面を下にして、金属フレームの数字が見えるようにします。
    テープリフトホルダー用の運搬ボックス
  6. サンプリング場所からCIX100システムが設置されたラボに運搬ボックスを運びます。こうすることで、運搬中にテープリフトサンプルの不要なコンタミを防ぎます。
  7. 検査を開始する準備ができたら、運搬ボックスからテープリフトホルダーを取り出します。金属フレームをひっくり返して、テープの粘着側が顕微鏡の対物レンズに向くようにします。フレーム上の数字は見えなくなります。
    運搬ボックスからのテープリフトホルダーの取り出し
  8. テープリフトホルダーをCIX100システムのステージインサートに置いて、ホルダーに付いたドットが顕微鏡スタンドに向くようにします(オペレーターから離す)。目視分析では、テープに取り込まれた粒子が顕微鏡からの光を反射します。
    顕微鏡で粒子解析するためのテープリフトホルダーの搭載

注記:テープ上に取り込まれた粒子の総数が、統計的に信頼できる十分な量であることが重要です。

テープリフトサンプルの粒子コンタミの顕微鏡解析

CIX100コンタミネーションシステム用のCIX™ソフトウェアは、テープリフトによる粒子コンタミのサンプリングと解析によく使用される規格に対応しています(ASTM E1216-11など)。CIX100システムでテープリフトサンプルの解析を実行するのは簡単です。テープリフトホルダーを顕微鏡に載せたら、必要な検査領域と規格に合ったガイド付きのワークフローに従います。

事前に設定および校正されたシステムによって、自動的に清浄度解析が行われ、補正用に結果が示されます。CIXソフトウェアバージョン1.5.2は、長方形の検査領域に対応し、各種の清浄度規格に合わせてシステムの多用途性が増しています。

テープリフトサンプルの長方形検査

CIXソフトウェアはテープリフトサンプルの長方形検査に対応可能です。

このソフトウェアで識別可能な4種類の粒子は、一般的な粒子、金属粒子、一般的な繊維、金属繊維です。検出されたすべての粒子は、選択した規格とそのコンタミネーションクラスに従って分類されます。ASTM E1216-11規格の場合は、Surface Cleanliness Index(SCI)が計算されます。

工業用清浄度検査のその他のサンプリング法

工業用清浄度検査で使用されるその他の一般的なサンプリング法については、洗浄法直接液体ろ過に関する記事をご覧ください。これらのサンプリング法で使用する機器についてご不明な点がございましたら、当社までお問い合わせください。

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Application Specialist

Peter Büscher has been with Evident for more than 25 years and has broad experience with various application developments in the digital microscopy field. He is the application specialist for technical cleanliness in the product group for materials science and industrial equipment at the EVIDENT Technology Center Europe in Germany.

2月 16, 2023
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