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超音波厚さ測定 チュートリアル

1.5 動作原理

音波は、空気や水などの媒質により伝搬される機械的振動として、我々のまわりの至るところに存在しています。 超音波試験には、人間の聴覚の上限を超えた20 KHzを上回る高周波数や、もっとも一般的には500 KHzから20 MHzの範囲の周波数が使用されますが、それよりも高い周波数や低い周波数が使われることもあります。 厳密な試験周波数は、対象とする特定の用途ごとに選択されます。 すべての超音波厚さ計は、超音波探触子と呼ばれるプローブから発した音波のパルスが、試験片を通過するのにかかる時間を極めて正確に測定することで動作します。 音波は鋼管壁内側にある空気や液体のような異質材料間の境界から反射するため、この測定は通常、片側から「パルス/エコー」モードで実施できます。

探触子には圧電素子が内蔵されており、この素子は短い電気インパルスによって励起され、超音波バーストを生成します。 音波は試験材料に結合され、背面壁または他の境界に達するまで伝搬します。 その後、反射波が探触子に戻り、音響エネルギーを電気エネルギーに変換します。 本質的には、厚さ計は反対側からのエコーを聞いていることになります。 通常この時間間隔は、ほんの数マイクロ(1/100万)秒です。 厚さ計は、試験材料中の音速でプログラムされているため、それを使用して次の簡単な数学的関係で厚さが計算できます。

T = (V) x (t/2)
ここで、
T=部品の厚さ
V=試験材料中の音速
t=往復伝播時間の測定値

場合によっては、装置や音響経路での固定遅延を説明するため、ゼロ補正も差し引くことがあります。

重要なのは、試験材料中での音速がこの計算の本質的部分であることです。 異なる材料では音波も異なる速度で伝搬します。一般に硬い材料では速く、柔らかい材料では遅くなります。音速は温度とともに著しく変化することがあります。 したがって、超音波厚さ計を測定される材料中での音速に校正しておくことが重要であり、正確さはこの校正を超えるレベルにはなりません。 これは通常、厚さが精密に既知である標準試験片で実施されます。 高温測定の場合、温度で音速が変化するため、最適な正確さを求めるには、標準試験片を試験片と同じ温度にする必要があります。

高周波数では関連波長がより短くなり、薄い材料の測定が可能になります。 波長が長い低周波数はより遠くまで浸透し、非常に厚いサンプルの試験や、音波が効率よく伝搬しないグラスファイバーや粒子の粗い鋳物に使用されます。 最適な試験周波数の選択では、このような分解能と浸透の要件のバランスを取らなければならないことがよくあります。 超音波周波数範囲では、音波は高い指向性を示し、通常の金属、プラスチックやセラミックス内を自由に伝搬する一方で、内壁や亀裂などのような空気境界部では反射します。

メガヘルツ帯の音波は空気中を効率よく伝搬しないため、探触子と試験片の間に微量の結合液を使用して良質な音響伝送を実現します。 一般的な接触媒質には、グリセリン、プロピレン・グリコール、水、油、およびジェルがあります。 必要量はほんの少量で、探触子とターゲットの間の極めて薄い空気ギャップを埋めるのに十分な量です。

標準的な超音波厚さ計のブロック図を以下に示します。 マイクロプロセッサーが制御するパルサーが探触子に電圧インパルスを提供し、送出超音波を生成します。 試験片から送り返されたエコーを探触子が受信し変換して電気信号に戻します。電気信号が受信増幅器に送られて、デジタル化されます。 マイクロプロセッサーによる制御とタイミングロジックの両方がパルサーと同期し、適切なエコーを選択します。そのエコーが、時間間隔の測定に使用されます。

エコーが検出されると、セクション3で説明するモードの1つでタイミング回路により時間間隔が正確に測定されます。通常はこの処理を何度か繰り返して平均値を求めます。 次に、マイクロプロセッサーがプログラムされた音速およびゼロ点調整の値と一緒に時間間隔の測定値を使用して、厚さを計算します。 最後に、厚さが表示され、選択した頻度で更新されます。

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