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業界別ソリューション

基礎からわかる「元素分析」検査の手法と機器選び

元素分析とは

元素分析とは、対象物に含まれる元素の種類と構成比率を分析する方法です。
元素分析にはさまざまな種類があり、対象物の条件によって適した手法は異なります。

さらに有機物と無機物でも元素分析の方法に違いがあります。大まかに違いをまとめると以下になります。

元素分析とは?

有機物や高分子化合物(※)を分析する手法の一例 

有機化合物や高分子化合物を完全燃焼して、得られた元素を測定する方法などがあります。
水素や二酸化炭素などの発生量を評価し、その比率を測定して分析します。

● 具体例:プラスチック製品、エタノール製品など

無機物を分析する手法の一例 

X線やプラズマなどを用いて、得られるスペクトルなどにより元素を特定する方法があります。
X線を用いた場合には、非破壊分析での測定も可能です。

● 具体例:金属製品、一部ガラス製品など

(※)高分子化合物とは、分子量が10,000を超えるような化合物です。

本ページでは、元素分析の中でも無機物の元素分析にスポットをあて、代表的な元素分析の手法とそれぞれのメリットを簡単に紹介します。

炭素(元素記号:C)以外の元素で構成されている金属などの元素が対象です。

元素周期表

蛍光X線分析(XRF)とは

蛍光X線分析(XRF

原理

蛍光X線分析(XRF)の原理は対象となる試料にX線を照射し、放出された特性X線(蛍光X線)の種類と強度で元素分析を行う手法です。

蛍光X線分析(XRF)の装置は、下記の2種類に大別されます。

●波長分散型(WDXRF)
●エネルギー分散型(EDXRF)

特に、エネルギー分散型(EDXRF)には、持ち運びできるハンドヘルド蛍光X線装置も存在します。
蛍光X線分析(XRF)で測定可能な元素はベリリウム(Be)からアメリシウム(Am)と広範囲です。定量レベルも、ppmレベルから100%まで測定可能です。
(※)1ppm=0.0001%

また、Na(ナトリウム)~U(ウラン)までの多元素同時測定が可能なのも特徴となります。
なお、持ち運びできるハンドヘルドタイプでも、機種によってはMg~Uまでの定量測定が可能となっており幅広く元素分析が可能です。
 

ハンドヘルド蛍光X線装置
メリット

蛍光X線分析(XRF)のメリットは、測定が比較的簡単で試料を非破壊分析できるところです。
スクリーニング検査をしたい方に、適した手法となっています。

デメリット

デメリットとしては、後述する手法に比べ検出できる下限値が劣る点です。

用途

製造業をはじめリサイクル業など幅広い業種で活用されています。
特に、持ち運びに適したハンドヘルドタイプは測定対象がある現場での分析が可能です。
材料受入検査やスクラップの測定、RoHS等の有害物質規制のスクリーニングにも利用可能です。

発光分光分析(OES)とは

発光分光分析(OES)

(※)画像はイメージです。

原理

発光分光分析(OES)の原理は、対象となる試料にプラズマのエネルギーを外部から与えて、得られるスペクトルを測定する手法です。スペクトルの位置から成分元素の種類を判定し、強度から含有量を求めます。より微量な分析に活用されるICP発光分光分析法も、発光分光分析の1つです。

蛍光X線分析同様に多元素同時測定が可能で、どんな元素が含有しているかわからない場合でも分析が可能です。

発光分光分析(OES)の測定対象も蛍光X線分析同様に広く、後述の原子吸光法では測定できないZr(ジルコニウム)、Ta(タンタル)、希土、P(リン)、B(ホウ素)なども容易に分析が可能です。検出限界が、大半の元素に対して10ppb以下であり、高感度な分析ができます。
(※)1ppb=0.0000001%
 

発光分光分析

メリット

発光分光分析(OES)のメリットは、個体金属試料の元素組成を短時間で測定できるところです。そのため、製鉄やアルミニウム治金プロセスの管理に活用されています。

デメリット

試料は半製品や完成品などから採取し、グラインダーや切断機を用いて切り取る必要があるので、非破壊での測定ができません。
また、発光分光分析(OES)の装置はラボなどに設置する大きなものが主流で、蛍光X線装置のようにハンドヘルド型のものはありません。

用途

環境分析や製品中の微量元素分析などに使われます。先述した製鉄業界をはじめ、医薬品の不純物分析などの分野でも活躍しています。

原子吸光法とは

(※)画像はイメージです。

原理

原子吸光法の原理は、光源からの光束が試料を通過するときにどの程度の光が吸収されたかを測定します。原子がある特定の波長の光を吸収する特性を活かした仕組みです。また、原子吸光法で測定する際には、試料を原子化する必要があります。

原子化とは、分析対象の原子が含まれる化合物を加熱して結合を断ち切って単独の自由な原子にすることです。代表的な方法として、「フレーム法」や「ファーネス法」があります。
「フレーム法」のフレームとは「炎」のことです。試料を噴霧しながら温度が約2,300~2,800℃の炎(フレーム)に投入することで元素を原子化する方法となっています。

「ファーネス法」では、グラファイト製のチューブに試料を注入し、電流を流すことで得られる発熱で元素を原子化する方法です。3段階で加熱され、最終的に原子化するときは、約1,400~3,000℃に加熱します。
どちらの方法も高温化での処理が必要であり、前処理に必要な装置も大がかりなものが多く、ハンドヘルドなどはありません。

原子吸光の測定可能な元素は多くありますが、H(水素)やC(炭素)、O(酸素)、S(イオウ)、ハロゲン元素は分析できません。定量レベルは、ppmからppbまで測定可能です。
 

原子吸光法
メリット

原子吸光法は、各元素が吸収する光の波長がごく限られた範囲のため、測定時にほかの元素と間違えてしまう可能性が低く、測定感度が高いのが特長です。言い換えると、「金属元素の微量な定量が可能であること」が原子吸光のメリットです。

デメリット

原子吸光法は、「どのような元素が含まれているか」あらかじめわかっている場合の定量分析を行うことが目的の方法のため、多元素同時測定には向いていません。

用途

食品や飲料、水、製薬分野などで活用されています。また、岩石中の貴金属の割合の分析など鉱業でも活用されています。

元素分析のまとめ

本記事では、元素分析の概要と、分析手法について紹介しました。まとめると図のようになります。

元素分析のまとめ

※上記はイメージです、機器及び測定条件に応じて仕様は異なります
 

今回紹介した分析手法は一例です。そのほかにも「レーザー誘起ブレークダウン分光」など、さまざまな分析手法があります。用途や分析対象元素などに応じて各手法をご検討ください。

また、弊社ではご紹介した手法のうちハンドヘルド型の蛍光X線分析計を扱っております。現在では、出荷や受け入れ時の確認検査など対象物の証明を求められる機会が多くなっています。このようなときに前処理の必要もなく、現場で対象物の確認がスムーズにできる点が魅力の製品です。

デモやお見積のご希望がございましたら、以下よりご相談ください。
 

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ハンドヘルド蛍光X線分析計

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