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ポータブルXRFを使用したLCTペグマタイト内のリチウム探査


ポータブルXRFを使用したLCTペグマタイト内のリチウム探査

ポータブル蛍光X線(pXRF)分析計は、リチウム含有鉱床の探査と調査に役立つ有用なツールです。現在、世界のリチウム生産は主として2種類の鉱床から生産されています。それは1)リチウム含有ペグマタイトと2)リチウムブラインまたは塩湖であり、世界産出量はだいたい50:50の割合になっています。ここではリチウム含有ペグマタイトに焦点を合わせ、このタイプの鉱床へのVanta™ポータブルXRF分析計の応用について説明します。

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図1:左:西オーストラリアにある世界有数のGreenbushes Li-Ta-Sn LCTペグマタイト鉱床。右:Vanta™ポータブルXRF分析計は地球化学的手法による鉱物探査に用いられています。
 

LCTペグマタイト探査

リチウムを含むペグマタイトは、肥沃なパーアルミナス花崗岩の後期分別および定置作用により生成される深成岩です。このタイプの深成岩はリチウム、セシウム、錫、ルビジウム、タンタルなどの不適合元素が濃縮されていて、他の希元素ペグマタイト(NYF:Niobium-Yttrium-Fluorine)と区別されることから、LCT(Lithium-Caesium-Tantalum)ペグマタイトと呼ばれます。一般に、LCTペグマタイトには流動性成分(水、フッ素、リン、ホウ素など)も濃縮されています。このことは、地球化学的および鉱物学的に特異な組成から明らかです。

LCTペグマタイトは、鉱物学的には石英、カリ長石、曹長石、白雲母の混合物を主たる構成要素としています。一般的には、より進化と分別の進んだ鉱物相(リシア輝石(Li)、レピドライト(Li)、葉長石(Li)、タンタライト-コロンバイト(Ta-Nb)、スズ石(Sn)、リン灰石(P)、緑柱石(Be)、電気石(B)、金剛石など)で縁取られて存在します。これらの鉱物はいずれも内核ゾーン内部と境界部に分布しています。

LCTペグマタイトから得られたラボデータとポータブルXRFデータの比較

X線の物理的な限界のため、pXRFを使用して直接的にリチウムを分析することはできませんが、最新世代の装置を効果的に使えば、岩石全体の元素組成と、それに付随するパスファインダー元素を識別できます。これには、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、ルビジウム(Rb)、ストロンチウム(Sr)、イットリウム(Y)、ニオブ(Nb)、錫(Sn)、セシウム(Cs)、タンタル(Ta)、アンチモン(Sb)、タングステン(W)、ビスマス(Bi)、ヒ素(As)、ガリウム(Ga)、タリウム(Tl)、さらには、ランタン(La)やセリウム(Ce)などの希土類元素(REE)が含まれます。これらの元素の多くは、周期表の第1属アルカリ金属に相当するHFSE(high-field-strength element)です。

TruemanとCerny(1982)は、希元素を含むペグマタイトと含まないペグマタイトの識別に使用できる相関関係が何種類も存在することを示しました。例えば、KとRbの比率もこのような関係の1つです(雲母や長石が結晶化する過程でRbがKを置換します)。彼らによれば、K/Rb 160は進行中の分別化を示しており、15近辺の値は高度に分別化されたペグマタイトを示します。分別化の進行したペグマタイトは、一般に鉱物化した希少金属(特にTa、Nb、Be、Cs、Li)を含有します。これは図2に示されており、重要な元素についてはラボデータとpXRFデータが良好な一致を示しています(東南アジアで採取されたLCTペグマタイト鉱床の試料データから作成)。

LCTペグマタイト鉱床から採取したラボパルプに対するラボデータとpXRFデータLCTペグマタイト鉱床から採取したラボパルプに対するラボデータとpXRFデータ
LCTペグマタイト鉱床から採取したラボパルプに対するラボデータとpXRFデータLCTペグマタイト鉱床から採取したラボパルプに対するラボデータとpXRFデータ
LCTペグマタイト鉱床から採取したラボパルプに対するラボデータとpXRFデータLCTペグマタイト鉱床から採取したラボパルプに対するラボデータとpXRFデータ


図2:LCTペグマタイト鉱床から採取したラボパルプに対するラボデータとpXRFデータ。以下について優れた一致を示しています。(a)ラボRb vs. pXRF Rb、(b)ラボSn vs. pXRF Sn、(c)ラボLi vs. Rb、(d)ラボLi vs. pXRF Rb、(e)ラボLi vs. pXRF K、(f)ラボLi vs. pXRF K/Rb。データ提供:Argo Metals Group(東南アジアのLCTペグマタイトプロジェクト)

ペグマタイトは非常に粗い塊として産出するため、信頼できる結果を得るには最適な試料調製と提示が重要です。このことを念頭におくと、pXRFを使用して以下の分析を行うことができます。

  • 花崗岩性母岩の識別、およびその母岩の産出力(LCTペグマタイトの含有量)評価。含有量の多い花崗岩はRb、Cs、Sn、Ta濃度が高く、通常の花崗岩よりも低いK/Rb比を示します。
  • 希少金属を含むペグマタイトと、標準的な花崗岩組成ペグマタイトの区別、およびNYFペグマタイトとLCTペグマタイトの区別。
  • パスファインダー元素(特にRb)との強い相関関係が存在し、詳細なオリエンテーション調査と十分な品質のラボデータにより判別される、リチウムグレードの代理分析(図2参照)。
  • 露頭、表面土壌試料、掘削物の直接分析。特にSn、Sb、Asの分析値は、表面の特異性(Li、Cs、K、Rbの集中または欠乏)を評価するために役立ちます。
  • 岩相-地球化学的情報から、鉱床の層序、変性、ペグマタイトゾーン形成を判別するために、岩塊全体の化学組成(Mg、Al、Si、K、Ca、Fe)と移動性のない微量元素(Ti、Zrなど)を分析。
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ハンドヘルド蛍光X線分析計VANTAは、さまざまな地質・鉱物調査の現場において、その場で迅速に成分分析ができます。VANTAは、地質探査、鉱石品位管理や加工、環境修復活動など、鉱物資源プロセスの全サイクルにわたって、パワフルで柔軟な性能を発揮します。
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