アプリケーション
ハードディスクドライブ (HDD) の磁気ヘッドスライダーは、ディスクが停止している時は軽くディスクに接していますが、回転中はディスクの回転に伴って生じる空気の流れにより、10nm程度浮上するように設計されています。このため、ディスク上にコンタミ (付着物) や傷が付くと磁気ヘッドを損傷する恐れがあります。
また、磁気ディスクに対する記録密度を向上させるためには、ディスク表面を滑らかにする必要がありますが、滑らかにするほどディスクの回転が停止した際に、ヘッドスライダーがディスク表面に吸着される傾向が強くなり、再び回転始動する際にトルクが大きくなったり、ディスク表面等に損傷を与える原因となったりします。そのため、ディスクの表面一部をテクスチャー化(粗面化)した環状の領域を設け、スライダーの吸着を防止するようにしています。こうしたコンタミやランディングゾーンのパターンはナノレベルの非常に微細かつ微小な凹凸であるため、通常の顕微鏡の明視野観察では形状の観察や高さの測定が困難です。
オリンパスによるソリューション
ナノサーチ顕微鏡OLS4500では、明視野観察のほか、高解像観察であるレーザー顕微鏡での微分干渉観察が可能なので、微小な凹凸もクリアに可視化でき測定対象を容易に検出できます。また観察のみならず、高分解能なレーザー顕微鏡での3次元測定を行うことで、高さ数十nmレベルの凹凸の形状測定も可能です。さらに測定対象を見失うことなく狙った箇所をシームレスにプローブ顕微鏡観察へ移行することができます。プローブ顕微鏡ではレーザー顕微鏡観察でも測定が難しい微小な幅の対象物についてもナノレベルの信頼性のある高さデータを捉えることが可能です。このように、一台でレーザー顕微鏡とプローブ顕微鏡による同じ箇所の形状評価を行うことにより、各データを相互にダブルチェックできるので対象物に応じてより最適な観察方法を選択でき、信頼性の高いデータの取得が可能となります。
1. 光学顕微鏡とレーザー顕微鏡によるランディングゾーンのドットパターンとコンタミの観察
レーザー顕微鏡輝度画像
対物レンズ 20X | 対物レンズ 100X |
レーザー顕微鏡微分干渉画像
対物レンズ 20X | 対物レンズ 100X |
微分干渉像
対物レンズ 20X | 対物レンズ 100X |
2. レーザー顕微鏡とプローブ顕微鏡のデータ比較
レーザー顕微鏡画像
ドットパターンの深さ: 0.032um |
プローブ顕微鏡データ
ドットパターンの深さ: 0.033μm | プローブ顕微鏡で測定することによって、このレベルの異物形状測定の場合は、その大きさがレーザーのスポット径 (0.4um) に近いため、レーザー顕微鏡の測定では正しい高さが捉えられていない、ということがわかる。 |