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ポリエチレン燃料タンクに含まれるバリヤー材:Hyperier®


用途

ポリエチレン製燃料タンクにおけるバリヤー材「Hyperier」が適正に混入および分布しているかどうかを、超音波試験により検証。

背景

HyperierはLG Chem Ltd.が開発・販売しているナノ複合樹脂材料(ケイ酸塩/高分子)であり、成形加工されたポリエチレン燃料タンクの壁を通してガス蒸気が移動するのを防止します。EVOHや類似のバリヤー材が多層設計を必要とするのに対して、Hyperierは壁材料に均一に混練することによってバリヤー機能を実現できるため、成形プロセスの単純化が可能です。一方、製造業者は製品性能を保証するために、Hyperierが正しく混入され、その分布がどうなっているかを検証しなければなりません。それには、材料を切断して断面を光学的に調べる破壊検査法と、超音波の反射パターンを観察する非破壊検査法があります。

機器

オリンパスの超音波探傷器EPOCHシリーズ(EPOCH 650EPOCH 1000EPOCH LTC)は、この検査に適用可能です。 この目的に使用する探傷器は、ほとんどの場合、10MHzまたは20MHzの直接接触型または遅延材付き探触子と組み合わせて使用しますが、どのタイプを選択するかは検査対象物の厚みに依存します。

検査方法

Hyperierとポリエチレンは異なる音響インピーダンスを示すため、それらの境界は音波エネルギーを反射します。しかし、Hyperierは明確に他と区別できる層としてではなく、極めて薄い糸状材料としてタンクの壁の厚み全体に混入されているため境界からのエコーは発生しません。しかし、Hyperierが混入されていると無数の微細なHyperierとポリエチレンの境界によって高周波が散乱されるため、純粋なポリエチレンでは見られないノイズパターンが観測されます。EPOCHのピークメモリー機能を使用すれば、この散乱ノイズを捉えることができます。

この方法では、10MHzまたは20MHz探触子と適当な帯域通過フィルターを組み合わせて用い、試験片の厚みをカバーするように装置のレンジを設定します。また、Hyperierと純粋ポリエチレンを所定の割合で混合した基準サンプル表面を探触子でスキャンし、50%以上大きな散乱ノイズによるエコー包絡線が得られるようにゲインを調節します。こうして設定されるゲインレベルは非常に高い値となるのが普通です。これらの初期設定を行ってから測定を実施すると、基準サンプルと同等な量のHyperierが混入されたタンクの壁からは同じレベルの散乱ノイズが得られますが、Hyperierを含まない壁から得られる散乱包絡線ははるかに小さくなります(標準的に10%程度)。 エコー強度は測定位置ごとに大きく変動するので、サンプルを縦断的にスキャンしてエコー包絡線を捉えるために、ピークメモリーモードを使用します。下に示すのは、3~4mm(0.120~0.160インチ)の厚みを持つタンク壁を、10MHzの遅延材付き探触子V202-RMを使用して検査した例です。左側の波形はHyperierを含むサンプルからの散乱ノイズ包絡線を、右側の波形はHyperierを含まないサンプルが発生するノイズ包絡線を示しています。後者の方がはるかに低いノイズ包絡線を示すことが分かります。

Hyperier present, high noise

Hyperierを含むサンプル(高ノイズ)

Hyperier absent, low noise

Hyperierを含まないサンプル(低ノイズ)

この検査は、基準サンプルと対比してHyperierの混入の有無を判定する比較法のため、製品に混入されたHyperierの量をパーセンテージで正確に測定することはできませんが、成形プロセスの異常によってHyperierがうまく混入されなかった場合などの状況を迅速に把握することができます。

Olympus IMS

この用途に使用される製品
EPOCH 650は、さらに高性能な探傷機能を備え、幅広い用途に対応した従来型超音波探傷器です。 人気のEPOCH 600探傷器の後継機で、さらに機能を追加し、堅牢設計でより操作しやすくなりました。
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