骨量の減少はさまざまな要因で起こります。これには、年齢やライフスタイルの変化から来る筋肉と骨の劣化による骨折、骨腫瘍、骨髄炎、人工関節の緩みなどがあります。
骨量の減少を修復するには、患者自身の骨を体内の別の部位から移植する、自家骨移植が行われます。この手法では患者自身の生体組織を使用することから、免疫反応がなく、骨形成能力が優れている利点があります。ただし、移植可能な骨を採取する外科手術は患者の身体に負担となる上、採取された骨量が不十分な場合があります。
人工骨移植は、このような問題に対する効果的な解決策です。骨の欠損や隙間を埋めて、組織を固定させることができます。多孔質のリン酸カルシウム系セラミックスは、ブロック、顆粒、ペーストの各形態があります。これらの形態は、加工性を合わせるために、骨欠損の形状とサイズに応じて選択します。
充填材の細孔は、骨芽細胞が成長できるように直径100~200 µmにする場合も、骨の内部に空気と栄養を供給できるように直径数µmほどにする場合もあります。手術中や回復中に材料が破損しないように、ブロック状の充填材の強さが求められることもあります。材料が破損すると、治癒過程に影響します。
細孔の分散と強度は骨代用材料の性能に大きく影響するため、細孔径とその割合を制御することが重要です。
細孔径の観察の課題
これまで細孔の観察は、走査型電子顕微鏡(SEM)や他の方法を使用して、樹脂に埋め込んだ充填材の小片に対して行われてきました。しかし、これらの方法のサンプル調製(SEMで行われるサンプルの破砕、樹脂への埋め込み、スパッタリングなど)によって、検査期間が2、3日追加されていました。今はもっと速い方法があります。3D測定レーザー顕微鏡です。
人工骨代用材料の細孔径を評価するための測定ソリューション
LEXT™ OLS5100システムなどの3D測定レーザー顕微鏡を使用すると、人工骨代用材料の細孔径を高速で評価できます。この顕微鏡は、高度な測定機能とシンプルなワークフローが組み合わされているので、あらゆるレベルのユーザーが面積比、細孔径、細孔の深さを簡単に測定できます。
ソリューションの利点:
- 405 nmレーザーを使用し、サンプルをステージに置くだけで非破壊観察をすぐに開始できます。サンプル調製が必要ないため、検査時間が大幅に短縮されます。
- 平面で高さデータを取得できるので、測定と観察の幅が広がります。これには、粒子解析による細孔径と面積比、プロファイルによる細孔の深さ測定、3D表示が含まれます。公差判定を使用して、設定基準に対する個々の測定結果の合否判定を行うこともできます。
- 3Dデータを平面方向に貼り合わせて、広い領域の高精度なデータを取得できます。
粒子解析(細孔の面積比、最大径、フェレ径、円相当径)。
10X対物レンズを使用し、5 × 5画像(5 mm平方)に貼り合わせて取得した画像。
粒子解析の公差判定。
例えば、相当径に注目して、特定サイズより大きい細孔をチェックする場合、すべての測定粒子についての合否判定を表示できます。これは基準値と上限・下限(±)を設定すれば実行可能で、結果はMicrosoft Excel形式で転送できます。
プロファイル測定(穴の深さ)
面積/体積測定(細孔面積/体積)