工業用ビデオスコープは、高解像度イメージングやステレオ計測などの先進機能によって進歩し続けています。 こうした先進機能によって、検査員が正確なRVI計測値を得られる一方で、正確性は検査員が基準点と計測点をどれだけ正確に選択するかに依存します。
検査員はどのようにすれば正しい計測点を確信を持って選択できるのでしょうか。 答えは3Dモデリングにあります。 仕組みを見ていきましょう。
点の選択に役立つ3Dモデリング表示
IPLEX™ NXビデオスコープなどの最新RVIツールには、計測点と基準点を確認するための各種3Dモデリング表示が用意されています。
便利な3つの機能を以下に示します。
1. 3Dモデルの回転
重要な機能の1つは、3Dモデルを回転して対象物を複数の角度から見られることです。
例えば、航空機のタービンブレードのエッジ部で、ポイントライン計測を行うとします。 下に示すブレードの2D写真(左)をキャプチャすることはできますが、計測点がブレードのエッジ部にある場合は不鮮明になります。
どのように確認すればよいでしょうか。 単純にモデルを回転して拡大すればよいのです。回転して拡大した3Dモデルは、ブレードの半分の位置を計測していることを示しています。 このようにして、計測点を確実に確認できます。
2. 深さマッピング
もう1つの手軽な3Dモデリング機能は深さマッピングです(カラーマッピングともいう)。 その名が示すとおり、深さマッピングは、視覚的に色分けすることで深さの違いを一目で確認できるようにするものです。
深さマッピングは以下の2つの方法で使用できます。
- 端部から対象物までの距離を計測
- 基準面に対する距離を計測
後者は特に溶接部検査に役立ちます。アンダーカットなどの問題を迅速に評価できるからです。 なじみにない方のために説明すると、アンダーカットとは、溶接止端部の母材に溶け込んだ溝のことです。 溝は、色分けされた表示によってたやすく見つけられるようになります。
下の画像で、アンダーカットがどれほど簡単に見つけられるかをご覧ください。 三角形で示された基準面より低いエリアは赤色(アンダーカット)、基準面と同じ高さのエリアは緑色です。 明白な表示のおかげで、左のステレオ画像上の計測点を確認できます。
左:溶接部のステレオ画像 右:深さマッピングを使用した溶接部の3Dモデル 色によってアンダーカットの位置が一目でわかります。 緑色:基準面(ref)と同じ高さ 赤色:基準面より低い(アンダーカット)
3. スライシング
スライシングモードでは、もう一つの便利な3Dモデリング表示が示されます。 単純に言うと、スライシングでは視界を遮るものが除去されるため、対象エリアに焦点を絞ることができます。 このモードが特に役立つのは、ビデオスコープが限られた視野で小さな隙間に入り込む必要がある航空検査です。
例えば、下の画像は航空機検査における溝を示しています。 右側にある固定子ブレードが視界を遮っているため、計測を困難にしています。 対象物に焦点を合わせるには、単純にスライシングモードを使用して、画像から不要な固定子ブレードを除去します。
固定子ブレード(赤色の丸)が視界を遮っている。
これで3Dモデルのプロファイル(右)が得られ、対象物の縁にはっきりした線が見えます。 このプロファイルによって、計測点が正しい位置にあることを確認できます。 モデルにさらに近づいて見る必要がある場合は、タッチスクリーンを使用して拡大や縮小も可能です。
ビデオスコープ計測の3Dモデリングについての詳細
実際の3Dモデリングの様子を確認するには 短い説明を下のビデオでご覧いただくか、詳細な説明をご参照ください。
以下に示す3Dモデリングのプレゼンテーション「高解像度ビデオ計測における3D視覚化の利点(Benefits of 3D Visualization for High-Resolution Video Measurement)」もご覧いただけます。
関連コンテンツ
問い合わせ