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オリンピックの金メダルは本当に金でできているか?

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金メダル

オリンピックの選手たちは肉体を限界に追い込み、新記録を更新し、想像を絶する挑戦へと懸命に努力します。多くのメダルを獲得した選手たちは、金、銀、銅のメダルを並べて自らの成功を祝います。

しかし、オリンピックのメダルは、実際にその名のとおり金、銀、銅でできているのでしょうか?その疑問にお答えします。

オリンピックの金メダルの組成

オリンピックの金メダルが大半は銀製で、金の割合はほんのわずかだと知ったら、驚かれることでしょう。

国際オリンピック委員会(IOC)は、オリンピックメダルの製造と設計に関して規則を定めています。原材料は以下のように指定されています。

  • 1位(金メダル):大半が純度92.5%以上の銀でできていて、6グラム以上の純金でめっきされていること
  • 2位(銀メダル):純度92.5%以上の銀でできていること
  • 3位(銅メダル):青銅と、銅と別の金属(錫や亜鉛など)による合金でできていること

これらの仕様から、オリンピックの金メダルは表面に6グラム以上の金がめっきされているにすぎないことが分かります。母材は銀です。また、銀メダルは銀製で、銅メダルには青銅(銅と他の金属の合金)が使用されます。

金、銀、銅メダル

金、銀、銅メダル

メダルや他の貴重品に含まれる金の判定

オリンピックのメダル以外に、宝石類や記念品で金や銀と記されているものの多くは、純粋な金や銀ではありません。こうした貴金属を商品として扱う場合は、その真贋の判定が特に重要になります。この簡単な方法の1つが、蛍光X線(XRFともいう)による判定です。

XRFは、貴重な対象物を損傷することなく、貴金属の含有量やカラット数(金の純度)の判定に使用される、非破壊分析法です。例えば、当社のVanta™ハンドヘルドXRF分析計は、金、プラチナ、銀などの貴金属を、その場で元素分析できます。Vanta分析計の精度と正確さは素晴らしく、金や宝石類の売買・製造時の品質管理や価格設定のために、カラット数を速く正確に判定できます。

Vanta分析計のカスタマイズ可能なインターフェイスは、操作が簡単です。経験の浅い、または経験のないユーザーでも、短時間のトレーニングですぐに操作が身に付きます。結果をダウンロードして証明書をすぐに作成することもできます。

金と宝石類のハンドヘルドXRF分析

金と宝石類のハンドヘルドXRF分析

電子廃棄物が「グリーン」メダルで貴重品に変身

東京開催の2020年夏季オリンピックで授与されたメダルは、別の驚くべき材料で作られました。なんと、リサイクルされた電子廃棄物です。1トンの携帯電話には、同じ量の金鉱より80倍も多くの金が含まれていることを考慮すれば、家に眠る古い電子機器から多量の金が見つかる可能性があります。

東京2020オリンピックの開催にあたり、日本オリンピック委員会はイベントのカーボンフットプリントを削減することを約束しました。この対策の一環として、オリンピックメダルの製造にリサイクルされた電子機器を使用して、「グリーン」メダルにすることになりました。

まず、日本の人々に使用済みの電子製品を提供するよう呼びかけました。次に、この電子廃棄物からメダルに必要な貴金属を取り出しました。

この取り組みには幅広い協力が得られました。日本全国で18,000個の回収箱が設置され、国内の地方自治体の90%が参加しました。回収計画では、2年間に78,985トンの廃棄機器が回収されました。回収量に含まれていた使用済み携帯電話は600万台超に上りました。回収されたその他の機器は、ラップトップ、デジタルカメラ、携帯型ゲーム機でした。

リサイクルされる携帯電話

リサイクルされる携帯電話の山

これらの機器から、32 kg(70.5 lb)の純金、3,500 kg(7,716 lb)の純銀、2,200 kg(4,850 lb)の純銅がもたらされました。5,000個のメダルすべてが、完全にリサイクル材料から作られました。この達成はオリンピック大会で初めてのことで、スポーツを持続可能なものにしていく世界的な流れの重要な一歩となりました。

電子廃棄物やその他のスクラップの元素分析

Vanta XRF分析計を使用すると、リサイクルされた電子廃棄物やその他のスクラップを素早く正確に選別できます。ほとんどの合金と純金属を1、2秒で確実に判定可能です。材料の化学組成に関する詳細な情報が得られるので、純金属や合金のグレードを速く正確に同定できます。

自動車触媒スクラップに含まれる貴金属のXRF分析

Vanta XRF分析計を使用して、自動車触媒スクラップに含まれる貴金属を迅速に分析する技術者

スクラップリサイクルと貴金属の検査に対応する多用途なツールとして、Vanta分析計はさまざまな検査を実施できます。

  • シリコンやアルミニウムを少量含有する重合金を選別する
  • マザーボードの電子部品を分析する(金、銀、パラジウムなどの貴金属を含む電子部品の判定、有害物質や有鉛はんだの選別と判定、微細物質に含まれる銅の評価)
  • 有害物質の検出により、リサイクルラインから有鉛ガラスやガラスセラミック製品を迅速に選別する
  • パラジウム、プラチナ、ロジウムなどの貴金属を含む自動車触媒スクラップを分析する
  • 品質管理と炉寿命の予測のために、溶融中のスラグの化学組成をモニタリングする
  • さまざまな溶融作業から回収したスラグを選別および評価する

貴重品とリサイクル可能材料の元素分析についての詳細は、お気軽にお問い合わせください。専門スタッフが喜んでお手伝いします。

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Application Engineer, Analytical Instruments

Wendy Tan graduated from the University of Manchester, UK, and is now working as an application engineer for analytical instruments at Olympus. In her role, she focuses on application development and provides technical support for X-ray fluorescence (XRF) and X-ray diffraction (XRD) analyzers.

10月 11, 2022
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