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革新の競争:硬性鏡が自動車の研究開発を加速

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自動車の研究開発

最新の硬性鏡は、画像センサーを使用していることからビデオスコープとも呼ばれ、自動車業界における効率と研究の向上に役立っています。

その一例がInstitute for Advanced Automotive Propulsion Systems(IAAPS)です。ここではエンジニアがオリンパス製の特殊な硬性鏡機器を使用し、研究および検査プロジェクトの一環として、内燃機関(ICE)やその他のパワートレインサブシステムの目視検査を実施しています。

先日、Andrew Lewis博士 (IAAPS主幹エンジニア)と Karl Giles博士(IAAPSシニアエンジニア)とお会いし、自動車エンジンの研究開発に硬性鏡を使用する主な利点と重要性について話し合いました。 対話の内容をご覧ください。

質問:IAAPSとオリンパス(現EVIDENT)とのパートナーシップについて教えてください。

Andrew Lewis:最初は通常のサプライヤー/顧客の関係としてスタートしました。 このタイプの目視検査機器は他社製の別のものを所有していましたが、機能はかなり簡易的で、得られる画像は貧弱でした。 自動車業界のあるお客様がオリンパスを勧めてくれて、2020年11月から同社の硬性鏡を使っています。

以来、Bayardさんを始めとするオリンパスのチームと緊密に連携し、システムの正しい適用法や、私たちが行っている研究・検査にとって最適な結果をこの種の検査から得る方法について学んできました。 オリンパスからすれば、IAAPSのような研究施設が、同社の硬性鏡を自動車エンジンの燃焼室などの小さな密閉空間で使用する様子を見るのは有益なので、これまでとても実りあるパートナーシップを維持できています。

質問:IAAPS内や関連する研究プロジェクトにおいて、硬性鏡検査はどのように使用されていますか?

Andrew Lewis:硬性鏡は、狭くてアクセスしにくい空洞の目視検査を支援するように設計された、遠隔操作式の光学機器です。 この機器は、一方の端にレンズと画像センサーを内蔵する湾曲ヘッドが付いた、細く柔軟性のあるプローブ、もう一方に湾曲ヘッドの位置を制御するためのリモートコントロールがあります。 これはとても有能な機器で、実施する検査の要件に応じて、前方または側面のさまざまなレンズに適したオプションが用意されています。

私たちの機器は直径4 mmなので、エンジン内部の実に困難な場所まで到達できます。 仕事の性質上、エンジンが成しえることの限界を押し広げていくのが常なので、通常よりも部品の損傷や摩耗が早いことがよくあります。 オリンパスの硬性鏡を使用すれば、エンジン内部で何が起きているかを観察し、壊滅的な不具合が発生する前に損傷や摩耗を検出できます。

Karl Giles:この機器の用途の大半は、内燃機関の定期検査です。 この目的で硬性鏡を使用するのはとても標準的ですが、発電や航空機以外のエンジンをこのように検査するのはまれです。 発電用のエンジンに比べて私たちが扱うエンジンは非常に小さいため、作業スペースが格段に狭く、求めている画像を撮影するのは困難を極めます。

硬性鏡で検査するのは、ガソリンやディーゼルの燃焼室以外に、ターボチャージャー、ディーゼルの後処理システム、そして私たちが開発した新しい単一シリンダーリグの油だめや発熱体も対象です。 要するに、大がかりな分解をしないと到達しにくいあらゆる場所です。

自動車の研究開発用ビデオスコープ

オリンパスIPLEX™ GX/GTビデオスコープ

質問:硬性鏡機器の利点は何ですか?

Karl Giles:この機器を使うことで多くのことを学びました。 例えば、検査結果によって、特定の望ましくない効果を是正する緩和処置をとることになったり、状態が悪化しないよう防いだりしました。後に実施する検査の種類を判断できるようにもなりました。 基本的に、問題を早期に特定して、何かが壊れる前に是正処置を取れるようになっています。 画質はすばらしく、もっと高い解像度が必要になったことは一度もありません。 アクセサリーセットがかなり包括的なこともあって、最小限のアクセサリーで済んでいます。

Andrew Lewis:硬性鏡検査によって重要な視覚面が研究に付加されるおかげで、試験結果のデータが異なって見える理由や、予測しない現象が起こる理由がわかるようになりました。 結果をよりよく理解するのに役立つ証拠が常にあるのです。 この機器がなかったら、できることは温度や圧力などのセンサーの数値を見るだけです。 でも硬性鏡を使えば目で見えるので、結果を解釈しやすくなります。

さらに、この内部検査を行うことで、効率が大幅に上がるとともに、費用を節約できます。 典型的な例として、燃焼室内部の検査を考えます。 硬性鏡を使わずに検査するには、エンジンの前面を物理的に外してすべてのシステムを分解し、シリンダーヘッドを取り外すなど、作業が必要です。 特殊な工具を使って作業を行い、再びエンジンを組み立てるには、最短でも2日かかり、エンジンについて2日のダウンタイムになります。 しかしこの機器なら、内部を見てすべて完了するまで1時間以内で済みます。 2日のロスになり成果を得られない可能性があるのに対して、大幅な時間の節約になります。

質問:オリンパスにとって、このパートナーシップにはどのような意味がありますか?

Bayard Morales:私たちが最も関心を持っているのは、IAAPSのような研究環境で、エンジン検査用の硬性鏡機器が使用される方法を確認することです。 この用途で成功する作業や、しない作業を学び、適切に変更を加えることができます。 結局のところ、硬性鏡の背後にある考えはとてもシンプルで、分解せずに機械の一部を見ることです。 しかし、それが研究プロセスに多くの価値を与えています。

私は、オリンパスはこの種の機器を供給する企業という役割にとどまらず、市場のリーダーであると自負しています。 私たちはお客様と連携して改善を図り、当社の機器を最大限に活用していただけるよう努力しています。 当社が画質にこだわっているのは、最終的にお客様が内部を見てその結果を基に判断するためには、高画質画像が必要だからです。 IAAPSのエンジニアの方々との関係やフィードバックは、とても重要なのです。

質問:IAAPSとオリンパスの共同作業からベストプラクティスガイドが生まれました。 詳しく教えていただけますか?

Bayard Morales:IAAPSにキットを提供した際、この特殊な用途に対する硬性鏡の使用方法について、詳細な手引書がないことに気付きました。 IAAPSはエンジンの知識が豊富で、当社には硬性鏡のノウハウがあるので、ベストプラクティスガイドを作ったらよいのではないかと考えました。

ある日の午後、IAAPSの現場でエンジニアの方々が実際に機器をどのように使っているかを見て、ビデオとメモに記録しました。そしてそれを基に簡単なマニュアルを作りました。 私の当初の目的は、同僚のトレーニングでした。 しかし、IAAPSが持っていても役立つだろうと気付きました。新しいスタッフがこの機器をすぐ扱えるようになるからです。そういうわけで、これを両者で共有できることになりました。

Karl Giles:現在は正式な指示書が整っておらず、情報はデモンストレーションで伝えられているため、同僚のトレーニングの際に指し示すことができるガイド文書や資料があれば助かります。 これまで、検査結果と写真の鮮明さに対してお客様からとてもよい評価を頂いています。オリンパス機器のおかげであるとともに、Bayardさんのサポートがあったからにほかなりません。 ベストプラクティスガイドによってこの関係がさらに強固なものになり、私たちの可能性を築き続けられると確信しています。

Andy Lewis:正直に言って、こうした硬性鏡を1つ所有することはかなりの投資となりますから、間違った使い方で修理に高額な費用をかけたくないでしょう。 硬性鏡を安全に操作するには、エンジン温度などの考慮すべきことがたくさんあります。それらが1つにまとまっていれば非常に便利です。

ビデオスコープを使用したエンジンバルブ検査

オリンパスの硬性鏡機器を使用したバルブのクローズアップ

ピストンの工業用内視鏡検査

オリンパスの硬性鏡機器を使用して撮影されたピストンの概観画像

質問:電動化に移行しても、硬性鏡検査は引き続き重要でしょうか?

Karl Giles:はい、そう信じています。 ギアボックスやトランスミッションなどの下流のパワートレイン部品は、駆動方式が電気モーターであっても内燃機関であっても、外見はとても似たものになるでしょう。 当社のような環境では、サブシステムを分解することなく検査できれば、必ず利益になるでしょう。 このキャパシティでは硬性鏡を使用した実験をあまり多くはしていませんが、新しいIAAPS施設で電動パワートレインシステムに対するプロジェクトが増加しているのを目にしているため、需要は高まると予想しています。

Andy Lewis:はい、トランスミッションは必ず存在するでしょう。 内燃機関はなくなるとしても、ギアボックスとトランスミッションは電気機械と連動しなければならず、内部検査は必要です。 電気機械に関しては、硬性鏡検査はモーター内部の物理的外観検査という形式を取り、巻線の熱損傷の兆候などを検査します。

電気モーターが強力になるにつれて、内蔵冷却空洞などによる周辺の熱管理が複雑化します。 したがって、検査にはモーター内の冷却水漏れやオイル漏れの残留物のチェックが組み込まれる可能性があります。 機器を分解することなく部品内部を目視することへのニーズは、今後も変わりません。 このようにすることで、見ているものが分解プロセスを経ていないという自信を持てます。 システム全体を分解せずに答えられる疑問が多ければ多いに越したことはありません。

現在は誰もが効率を求めている上、パワートレイン施設の運営費用は非常に高額です。 分解と再組み立てに1日を費やすと、莫大な支出になります。 この部品の分解と検査を毎週やれば、すべて積み重なっていきます。 ここにカメラを差し込めば検査時間を30分に短縮できるのですから、硬性鏡で数週間も検査をすれば元が取れます。

硬性鏡が自動車の研究と検査の革新を加速

自動車業界の研究開発チームは、革新の速度を上げて業界を前進させようと努めています。 ここに紹介したインタビューは、最新の硬性鏡が、高品質画像と効率的な検査によっていかに自動車を改良できるかを示しています。

この記事はIAAPSの許可を得て再投稿されました。 オリジナル記事はこちらをご覧ください

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Bayard Morales is a product marketing manager at Evident specializing in remote visual inspection (RVI) technology. Bayard has 15 years of experience working with a wide range of industrial applications, including as a project engineer and product specialist in the fields of numerical simulation and industrial lubricants.

5月 10, 2022
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