Inspection & Measurement Systems

用途/事例

アプリケーションノート

中空成形製品での肉厚測定

序説: 長年にわたってブロー成形パーツの品質管理では、ノギスで厚さ測定を行うためにカッターナイフで切断を行っていました。この従来的な方法には数々の問題点があります。パーツを切断して開けると、切り口にバリが残ります。オペレーターがバリの上で測定すると、それは真値の測定とはなりません。オペレーターが注意してバリの縁を避けたとしても、測定位置の制限があります。多くの場合、パーツの形状によって狭い角や瓶の取っ手部分へのアクセスは不可能となります。厚さ測定のためにパーツを破壊すると、それは他のほとんどの試験に使用が不可能となります。オペレータの手法によるバラツキが頻繁に問題となります。ノギスはパーツに対して斜めに保持すると誤差を生じ、はさみ口の圧力で圧縮される材料に使用する際は、オペレーター毎に厚さの読み取り値がばらつきます。また、安全上の危険性もあります。オペレーターは、作業シフト中に何回もカッターナイフでパーツを切断することが求められ、常に深刻な怪我の心配があります。
これらの全ての問題を低減または解消するには次の二種類の非破壊の測定方法が可能です。超音波厚さ計およびMagna-Mike(磁気ホール効果厚さ計)です。これらの測定器が、ブロー成形品質管理で今や一般的に用いられています。測定方法は一般的に試験する製品によって選択され、方法の選択を決定する要素は試験する製品に依存します。

超音波測定原理: 超音波厚さ計ではパーツの片面から超音波を入射させ、パーツ内を伝播するのにかかった時間を測定する方法で測定します。超音波厚さ計は、トランスデューサー(超音波探触子)プローブの圧電素子より超音波を発信します。一般的には人間の可聴帯域の上限が18,000Hz(18KHz)です、超音波厚さ計で使用される周波数ははるかに高く(1MHz)から(20MHz)です。電気的なエネルギーが超音に変換される現象をPiezo-Electric Effect(圧電効果)と呼びます(キーワードの索引1を参照)。トランスデューサーは測定するパーツの表面上に接触させ、液体(接触媒体)、グリセリン、プロピレングリコールまたは水を使用して音響的にパーツに接続されています。超音波厚さ計に使用している周波数は空気中では超音波をよく伝播しないため、接続媒体が必要です。超音波のパルスは接触面から反対側の表面に伝播し、エコーとして反射します。(図1を参照)。

それがトランスデューサーに再度到達して、超音波パルスは圧電効果で変換されます。測定機器は、材質内の超音波のパルスの伝播時間を測定します(図2を参照)。測定した材質内の音速を使用して、測定機器は以下の等式によって材質の厚さを計算します。



ここで、Dは材質の厚さ、 t は伝播時間で、Vは材質内の音速です。伝播時間は往復であるため、2で割ります。音速の代表例は 鉄5.920mm/μsec 合成ゴム1.500mm/μsec


図1-トランスデューサーをパーツ上に設置します。トランスデューサーからの超音波は、接触面と裏面との間を往復します。


図2-最初のパルスはパーツに入る音を表します。反対側の壁のエコーは反対側の表面から戻る音を表します。「t」は、音のパルスの伝搬時間です。モード1は、最初のパルスと反対側の壁からのエコーから厚さを決定するために使用した測定方法を意味します。

校正: 超音波厚さ計は誤差が生じる原因を把握し、いくつかの点に留意すれば非常に高精度な結果を得られます。機器を正しく校正した場合は、正確な厚さを表示します。校正プロセスには、既知の厚さの材質のサンプルが必要となります。一般的に、測定する最大と最小の材質の厚さを表すサンプル上に機器をセットアップします。材質の音速とゼロ点オフセット(トランスデューサーに、関連のパラメータ)が、測定する最大と最小の材質の既知の厚さを入力する簡単なキーパッド操作を実行して設定されます。機器は、音速を計算するために測定する最大の既知の厚さと、ゼロ点オフセットを計算するための測定する最小既知の厚さにより、材質(音速)とトランスデューサー(ゼロ点)を設定します。機器が厚さの測定を行う際は、校正した音速を使用して製品の厚さを測定、計算します。

メリットとデメリット: 超音波測定の主たるメリットは、厚さ測定は試験材の片側に対するアクセスだけが必要で、密閉した容器、大型のシートおよびその他の両側からのアクセスが困難か不可能な形状の場合の測定を可能にすることです。機器は一般的に手で持って容易に使用することができます。重大なデメリットは、測定の精度は材質と音速に依存することです。材質の音速にバラツキが有る場合は、精度が出ないことがあります。音速は材質の特性の変化に影響を受け、それには温度の変化または密度のバラツキが含まれます。ほとんどのプラスティックは、温度が5ºCを超えて変化すると顕著な音速変化を示します。温度に誘発される誤差を避ける最も容易な方法は、室温で校正、測定を行うことです。それが不可能な場合は、製造工程の定常的な位置で校正、測定を行う必要があります。ほとんどの標準的なトランスデューサーは、約50ºCよりも高温のパーツに振れると破損するため、特殊なトランスデューサーを使用しない限り、高温での試験は推奨できません。パーツの内部が高温である一方で外側表面が冷える様な厚壁製品は、大きな温度のバラツキがパーツの外と内で存在することになりますので、この様な温度のバラツキによっては顕著な音速変化がパーツの壁を通じて生じ、測定の不確実性を誘発することもあります。

Magna-Mike測定理論: Magna-Mikeは磁気ホール効果を使用しており、プローブが発生するのに直角な磁界内に、ターゲットボール(鉄球)などの強磁性体のターゲットが磁界内に置かれた場合は、それにより誘導電圧が変化します。ターゲットが磁石から遠ざかると、磁界さらにそれによって誘導電圧は、予測可能な形で変化します。誘導電圧の変化をプロットすれば、誘導電圧をプローブとターゲットの距離に比較させる曲線を得ることが可能です(図3を参照)。

測定を実施するためにホールプローブを測定する製品の一方に設置し、ターゲットボールを製品のもう片方に置きます。測定器はターゲットボールとプローブの間の距離を表示し、それが測定物の厚さです。


図3- ターゲットボールが測定するパーツの一方に置かれます。プローブがパーツの他方に設置され、ボールはプローブに引き付けられます。

校正: 付属のテストピースシムをプローブ上に設置し、シム上に球を置き、そして測定機器に各々の既知の厚さを入力してそれを校正します。校正中に測定器に入力した情報によって、測定器は磁気と距離との関係を誘導電圧と距離の曲線をプロットするで校正曲線を構築します。測定器は校正曲線に対して測定値を確認し、デジタルの読み取り値で厚さを表示します。これらの全ては複雑に聞こえる一方で、オペレーターは単に校正中に既知の値をキー入力し、測定器が比較計算するに任せることだけが求められます。Magna-Mikeを使用する場合は、オペレーターには測定を可能とする特別な技術を求められることはありません。校正プロセスは自動です。

メリットとデメリット:Magna-Mikeのメリットは、(1) カプラントが不要である、(2) 温度その他の材質特性による音速変化の影響がない、および (3) 曲率の小さい部位および極めて薄いサンプルの厚さの測定が可能である事です。さらに、プローブでパーツ上をスキャンして、連続的な厚さを確認し、範囲内で最小の厚さを探すことが容易です。デメリットは、磁性材質の測定は出来ません。測定するパーツの内部にターゲットボールを設置しなければならないことで、密閉した容器での使用が困難となります(密閉容器の測定は超音波厚さ計で可能です)。Magna-Mikeは校正の手順を画面に表示します。Magna-Mikeは最大で約6.35mm(オプションにて10mm)まで測定が可能です。柔らかい材質の測定も可能ですが、ターゲットボールが材質を圧縮する可能性があり、これらの測定の際には可能な限り小型のターゲットボールを使用する必要があります。測定は簡易に素早く出来、スキャンする間に最小の測定数値を保存が可能です。多数のユニットが生産現場で使用され、成形容器の測定に使用されています。工程での品質管理が可能となります。

測定方法の選択: 2種類の測定方法を選択するに当たって特に定まった規則はありませんが、一般的には大型で硬いパーツを測定する場合には、超音波厚さ計が望ましいです。小型で薄厚(100インチ未満)で小さいコーナーを有するパーツを測定する際は、Magna-Mike 8500 等の機器が有効です。PET容器ブロー成形用途の多くでは<Magna-Mike 8500が好んで使用されています。しかしMagna-Mikeは、二重壁のブロー成形パーツには余り適していません。一般的にターゲットボールを二重壁パーツで使用することは困難だからです。これらの用途には超音波厚さ計のほうが適しています。35DLおよび38DL PLUS 等の最新の超音波厚さ計は、複数の音速とトランスデューサーのセットアップ情報を機器内に保存することが可能であり、様々な材質の測定を単純なプロセスで測定できます。

機器: Magna-Mike 8500
M116トランスデューサー付き超音波厚さ計35, 35DL, 38DL Plus は、一般的に薄い厚さのパーツに推奨されます。厚い厚さのパーツには、 同じ機器を低周波数接触トランスデューサー(M112、M110、M109)と共に使用してください。 50ºCを超える温度の高温プラスティックの厚さ測定には、高温用遅延材付トランスデューサーを使用してください。

要約: いずれのタイプの機器もいくつかの簡単なステップで校正することが可能です。Magna-Mikeの場合は、機器が校正手順を画面表示します。超音波厚さ計は、校正は1回のみ必要ですが、ユーザーの運用によっては定期的な確認が一般的に推奨されます。一度校正を行えば、いずれのタイプの機器も高精度で再現性のある結果を出し、ノギス、マイクロメーター等の従来の測定方法と比較し、これらの機器での測定は人による誤差が発生しない点や測定作業のスピード゙アップにつながり高効率といえます。また超音波厚さ計およびMagna-Mikeの両機器はデータ記録機能がありますので、校正情報や取得データを保存することによって、転記上の誤差を避けることが出来ます。成形品購入先の多くがISOにより工程管理と品質保証とをその製造元に求めるようになるにつれ、測定データ記録機能と非破壊的測定方法との組み合わせがより一層一般的になってきています。

この用途に使用される製品

35

35はポケットサイズの精密厚さ計です。一振動子型探触子を用い、金属、プラスチック、ゴム、ガラス、複合材料などの厚さ測定に使用できます。測定範囲は、0.08 mmから635.0 mmです。ライブ波形表示機能や測定調整機能を備えています。

35DL

ポケットサイズの35DLは、一振動子型探触子を使用して、金属、プラスチック、ゴム、ガラス、および複合材料を精密に測定するハンディータイプ超音波厚さ計です。モデル35と同様の機能を備えていますが、データロガーを内蔵しています。

38DL PLUS

航空機エンジン検査認承:GE DFO P3TF22, P3TF30, P3TF31, P3TF35

Magna-Mike 8500

Magna-Mike 8500は、ホール効果を応用した磁気式厚さ計です。薄い中空成形プラスチック容器や非磁性材料の厚さを正確に測定します。

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