概要
プローブ製造技術の改良により、欠陥の長さサイジング機能が向上しています。 フェーズドアレイCCEV[Concave Curvature in Elevation(axis):仰角(軸)凹曲] プローブは欠陥長さサイジングの精度向上を目的として作り出されたプローブです。この技術が利用されるのは、主に小径配管検査と陸上/海上パイプラインの建設時ですが、多くの超音波フェーズドアレイユーザーはこの技術を他のアプリケーションにも利用しています。 この技術の発展により、重要なパイプラインの検査ばかりでなく、これまで困難とされてきた小径薄肉部材の検査も向上してきました。
CCEVフェーズドアレイプローブの構造
フェーズドアレイプローブでは、パルスと素子の受信感度をコントロールすることによって、電子的に前方軸または能動軸に焦点を合わせることができます。 複雑なアレイ構成(デュアル・マトリックス・アレイなど)を持たないプローブの場合、受動軸はアパーチャーと素子の大きさ、およびプローブ周波数で決まる自然なビームの広がりのままで使用されてきました。
CCEVは、フェーズドアレイプローブの仰角軸、横軸または受動軸に曲率を与えることによって作り出されたプローブです。適正な曲率を決定するために、パイプライン建設の溶接部や小径パイプと管の溶接部の代表的な直径と肉厚を想定して実験室で試行を繰り返し、ビームのシミュレーションを行います。水浸プローブでレンズを使用するのと同様に、曲率を与えることによりビームスポットの幅が小さくなりビームの拡散効果が抑えられるので、長さサイジング能力が向上します。この技術は主に、PipeWIZARDおよびCOBRAスキャニングシステムに適用されますが、この方法は他の大部分のリニアアレイプローブ設計にも適用可能なので、他の多くの用途にも適用することができます。内部統合レンズでは、標準的な平面ウエッジやフラットな外ケースでも使用することができます。
人為的にノッチ(6.9mm x 0.5mm OD)を作り込んだパイプ(直径2.75インチ/70mm)の検査結果。CCEVプローブの使用により、データがより明瞭になり、サイジング能力が向上。データの取得にはCOBRAスキャナーを使用(-6dB減衰法を適用してサイジング)
結論
横方向の焦点を絞り込んだアレイを使用することにより、小径パイプやパイプライン建設システムにおける欠陥の長さサイジング能力が大幅に向上しました。この技術は、大部分の1Dリニアアレイプローブにも応用が可能なため、多くの超音波フェーズドアレイ検査での長さサイジング能力向上に寄与すると考えられます。標準CCEVアレイの一覧が弊社フェーズドアレイプローブのカタログに掲載されています。
カスタムCCEVプローブを適用する可能性やご不明については、SCE.PM@olympusndt.com までお問い合わせください。または、詳しい内容を online custom probe form にご記入の上、送信いただくか、お近くのオリンパスまでお問い合わせください。