非分散形で等方性を持つ工業用材料において、弾性に対するヤング率と剛性率、およびポアソン比の測定に使用します。
弾性に対するヤング率は、物質が引っ張られたり、圧縮されたりする状況の中で、応力 (単位面積当たりの力)に対するその歪み(変形)の比率として定義されています。
弾性に対する剛性率は、剪断応力を受けている物質の歪みに対する応力の比率と同じです。
ポアソン比は、1つの軸に沿って応力を与えた物質の横歪みに対する軸歪みの比率です
これらの基本的な材料特性は、生産用途や研究用途では非常に重要なことであり、音速をベースにコンピュータで素早く、簡単に導くことができます。音速は、超音波パルスエコー手法で簡単に測定することができます。以下で示す手順は、いずれの分散形材料や形状
(つまり速度は、周波数によって変化しないこと)に有効です。これは断面寸法が、試験周波数の波長に近くないときに限り、ほとんどの金属、セラミックおよびガラスについて言えることです。プラスチックや複合材は通常、分散形ですが結果を分析するとき材料の分散的性質が認識できれば、超音波測定では有益な情報を取得できます。
この手法による測定には、500PR、5072PRまたは5800PRのような超音波パルサーレシーバ、35DL型のような超音波厚さ計、またはEPOCH探傷器のような音速測定機能を持つ探傷検査器が必要です。特に音速計Panametrics-NDTの25HPVは、この試験に非常に適しています。また、縦派モードや横波モードのパルスエコー音速測定を行う材料に適したトランスデューサが必要です。一般的に5MHz広帯域の縦派トランスデューサV109、またはM109や2.25MHz垂直入射の横波トランスデューサは、金属や焼成セラミックのサンプルに使用します。さらに非常に厚いものや薄いもの、または減衰が激しいサンプルには、その他のトランスデューサが必要になります。
試験サンプルは、クリアなパルスエコーが測定できる形状でなければなりません。そうでないと所定の厚み部分を通過する音響伝播時間を正確に測定できないからです。理想的を言えば、サンプルは少なくとも12.5mm(0.5インチ)の厚さがあり、滑らかで水平面であるスラグまたは棒状であることが望ましいです。断面の直径は、縦波の波長約5つ分以上でなければなりません。鋼鉄の場合、5MHzでその直径は6mm(0.25インチ)以上あることを意味しています。
まず、試料の縦波および横波の音速を測定します。縦波と横波トランスデューサの両方で、所定の厚さ部分を往復通過する経過時間を簡単に記録し、計算します。
音速=厚さ÷1/2往復時間
次に、速度を表現するために必要な単位(cm/秒またはインチ/秒)に変換します。(時間は通常μ秒で測定し、インチ/μ秒またはcm/μ秒に10の6乗を掛けてインチ/秒またはcm/秒を出します)このように速度は、次の式に当てはめて算出します。
ポアソン比
=1−2(VT÷VL)2÷2−2(VT÷VL)2
ただし
VT=横波音速
VL=縦波音速
代表的な304ステンレススチールの例:
VT=1.2×105インチ/秒または3.1×105cm/秒
VL=2.3×105インチ/秒または5.4×105cm/秒
VT/VL=0.522
ポアソン比
=1−2(.522)2÷2−2(.522)2
=.456÷1.456
=.313
ヤング率
=V2Lr(1+d)(1−2 d)÷1−d
ただし
VL=縦波音速
r=密度
d=ポアソン比
音速をcm/秒で、密度をg/cm3で表わす場合、ヤング率はdynes/cm2の単位で表わされます。インチ/秒およびlbs/in3など英語圏諸国単位は、ポンド/平方インチ (PSI)で表わすための係数として使用する場合、力の単位と質量の単位としての「ポンド」の違いを忘れないでください。係数が単位面積あたりの力を表しているため、質量 / 力変換定数を上記の式の解に掛ける必要があります。
1÷重力加速度
=1÷32.174 ft/S2
=1÷386 in/S2
もしくは、最初の計算をメートル単位で行い、変換係数を使用します。
1 psi=6.89×104 dynes/cm2
もしくは、インチ/秒で速度、g/cm3で密度を入力し、1.07×104の変換係数で割ってPSIの係数を導き出します。
代表的な304ステンレススチールの例:
ヤング率
=(5.9×l05cm/S)2(7.9 g/cm3)
[(1+.313)(1−.616)÷(1−.313)]
=(3.48×1011×cm2÷S2)(7.9 g/cm3)(.733)
=2.0×1012 dynes/cm2
その後、PSI(2.0×1012 dynes/cm2)×(1 psi÷6.89×104 dynes/cm2)に変換します。
=29×l06 psi
もしくは、英語圏諸国単位で計算します。
ヤング率
=(2.3×l05in/S)2(.29 lb/in3)[(1+.313)(1−.616)÷(1−.313)][1÷386 in/S]
=(5.29×1010 in2/S2)(.29 lb/in3)(.733)[1÷386 in/S]
=29×l06 psi
剛性率=VT2r
剛性率の場合は、横波音速の二乗に密度を掛けます。再度、cm/Sとg/cm3の単位を使用してdynes/cm2またはin/Sおよびlbs/in3の英語圏諸国単位を導き出し、その結果に質量 / 力変換定数を掛けます。
304ステンレススチールの例:
剛性率
=(3.1×105 cm/S)2(7.9 g/cm3)
=7.6×1011 dynes/cm2
もしくは
(1.2×105 in/S)2(.29 lb/in3)
[1in/÷386 S2]
=10.8×106 psi
参考文献
弾性率の超音波測定の詳細情報については、以下の文献を参照してください。
1. McIntire, P. (ed.) , Nondestructive Testing Handbook, Volume 7, American Society for Nondestructive Testing, 1991, pp. 398-402.
2. Krautkramer, J., H. Krautkramer, Ultrasonic Testing of Materials, Berlin, Heidelberg, New York 1983 (Third Edition) , pp. 580-587.
3. Lynnworth, L. C., E. P. Papadakis, K. A. Fowler, "Ultrasound Propagation Measurements and Applications," International Advances in Nondestructive Testing, 1977, Vol. 5, pp.71-115.
4. Lynnworth, L. C., "Acoustical Nomograms for the Elastic Properties of Engineering Materials, " Ultrasonics, October 1969, pp. 254-256.
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