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クロム鉄鉱石のマッピングを迅速に行うためのポータブル蛍光X線分析計(pXRF)


鉱物探査会社では、プロジェクトのさまざまな段階で日常的にマッピングを実施して、将来の調査や事後作業に有望な地域を識別しています。 クロム鉄鉱鉱床で最近行われた研究では、プラチノイドやレアアース元素(REE)の描画にポータブル蛍光X線分析計(pXRF)の使用が効果的であることが示されています。

探鉱ライセンスは1,220ヘクタールの地域をカバーしており、クロム鉱化が見られる超苦鉄岩の蛇紋岩、ダンかんらん岩、 かんらん岩のシーケンスが含まれます。 識別されたのは2つの異なる鉱石です。すなわち、1)初期のクロム鉄鉱石と 2)ヒ素、鉛、白金を含む後期の鉱脈です。 鉱化が表面化するのは、平均幅0.5mの風化した第四紀シーケンスであり、表面は露出していて植生はありません。 また、このような鉱床は磁気および重力地球物理学的調査両方の手法を使用して明確に描写できます。

クロム鉄鉱石のマッピングを迅速に行うためのポータブル蛍光X線分析計(pXRF)

マッピングは、オリンパスのポータブルXRF分析計Vanta™ Mシリーズを使用して、クロム(Cr)、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、およびレアアース元素について、27ヘクタールのプロジェクト地域を対象に実施されました。 マッピングは掘削・採鉱作業の前に完了し、この初期作業の結果、pXRFによる地球化学調査を1,220ヘクタールの探鉱地域全体に対して行うのが有益であることが示唆されました。

この研究の一環として以下の作業が行われました。

  • 対象地域におけるクロム鉄鉱産出に関する文献レビュー
  • 地球化学分布の研究および調査の設計
  • 目的に合致するか確認のためのpXRF分析計の校正評価

地球化学分布プログラムは、必要なサンプルのグリッド密度、位置、および配列を定義するため、元素ごとに実行されました。 標準的な地質平面図/地質図、断面図、ブロック模型、および投影図が、1:1,000と1:10,000の縮尺で対象地域の法定要件に沿って作成されました。

この研究で調査されたクロム鉄鉱鉱床は非常に複雑で、構造的に制御されています。 結果として、この鉱床は以下のように要約されました。

  • 中規模および小規模の鉱床
  • レンズ状または脈状である
  • ネスト状や柱状に形成されていることもある
  • 規模は長さ数十メートルから300メートルの範囲で異なり、後期構造によって小さなブロックに分かれていることが多い

この種のクロム鉄鉱鉱床の標準的なサンプリング密度は20m~50mの範囲であり、品質管理サンプル(ブランク、標準、重複)はサンプル集団の5%です。

縮尺 グリッド密度(m) サンプル数 管理サンプル数 合計サンプル数
1:2,000 20 × 20 729 37 766
1:5,000 50 × 20 297 15 290
1:5,000 50 × 50 121 7 128
表1: 対象地域27ヘクタール(520m × 520m)に対するサンプリンググリッド密度の計算

次に、同様の方法で1,220ヘクタール全体のサンプリングに必要なサンプル数を計算しました。 作業縮尺1:10,000が選択され、サンプリンググリッド密度は100m × 50mでした。 5%の品質管理サンプルを含めた合計サンプル数は、2,684と算出されました。

クライアントの目標は、対象地域と探鉱ライセンス全域両方のマッピングを10日以内に完成させることでした。 選択したサンプル密度に基づき、1日あたりのサンプル数は282または345と算出されました。 対象となる地域の地形を考慮すると、8時間シフトで平均200~400回のテストが実行可能であり、クライアントの要求を満たすことができました。

日数 合計サンプル数
3450 (766+2684) 2974 (290+2684) 2812 (128+2684)
1日あたりのサンプル数
10 345 297 282
表2: 調査の完了に必要な日数の計算

 

pXRFによる測定結果には、多元素の詳細な地球化学分析と精度、サンプルメタデータ、内蔵GPSレシーバーで判定された3D位置データが含まれます。 位置データはWGS-84系でレポートされ、迅速なエクスポートが可能なため、現場でマッピングをほぼリアルタイムで実施し、すばやくデータを解析することができます。

倍率100倍の鉄鋼粒子図
図1: プラチナ鉱床図の例

投資利益率(ROI)の詳細な分析が実施され、従来のラボ方式と比較してpXRFを使用する事の価値が算出されました。 ラボ方式では、投資回収までの時間が長く、モスクワ(ロシア)へのサンプル送付に多大な手間とコストがかかることが分かりました。 この分析では、10日で収集されるサンプル数2974に相当する1:5000の縮尺を選択しました。 比較すると、これは標準的なラボ方式の検査所要時間より3倍速く、費用は4分の1です。 したがって、pXRF分析計1台分の購入費用は、このプロジェクト期間の3~4倍で元が取れます。

結論として、この研究により、現場での迅速な地球化学図作成にオリンパスのポータブルXRF分析計Vanta™を使用することで、プロジェクト期間のコスト削減と検査時間の短縮に大きな効果があることが明らかになりました。 このプロジェクト全体で、検査結果は従来の3分の1の時間で得られたため、1ヶ月の余分な待ち時間が削減された上、数分の1の費用で済みました。

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