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鋼材中の非金属介在物解析


鋼材中の非金属介在物解析

非金属介在物とは

非金属介在物とは、製造工程で鋼材内部に埋め込まれた複合材料です。介在物は多種多様な化学的な起源をもち、成形性、靭性、被削性、耐食性など、さまざまな機械的特性を鋼材にもたらします。原則として、介在物が少ないほど鋼材の品質が高くなります。従って、非金属介在物を解析し記録することが品質管理上、重要です。

鋼材中の非金属介在物解析に適用する国際規格

鋼材中の非金属介在物解析に関して一般的に適用される国際規格としては、ISO 4967(全世界)、DIN 50602(ドイツ)、SEP 1571(ドイツ)、EN 10247(欧州)、JIS G 0555(日本)、GB/T 10561(中国)、UNI 3244(イタリア)があります。北米および南米では、ASTM E45が鋼材中の非金属介在物解析に関する主要な規格となっています。品質管理のラボでは、現在もASTMのチャート比較法を使用して介在物の分析を行っています。この方法では、オペレーターは光学顕微鏡の実際の画像と、顕微鏡の近くの壁などに貼られた顕微鏡写真とを比較して、介在物の種類と深刻度の視覚的評価を実施します。

デジタルイメージングの登場前は、ASTM E45規格によって規定される拡大基準は、複合顕微鏡を用いて100倍の総合倍率(10倍の対物レンズと10倍の接眼レンズ)で介在物の評価を行うというものでした。しかしながら、この規格はデジタル画像解析の高まりに対応するため更新され、10倍の対物レンズの使用時には1.0μm/画素以上の解像度が必要であるとしています。デジタル画像解析は、その優れた精度と繰返し性によって推奨される手法となっており、人間の目による主観性のリスクを低減するのに役立ちます。さらに、解析結果の記録がワークフローにシームレスに統合されています。

鋼材試料中の非金属介在物を解析するための検査方法

サンプルを適切に前処理した後、落射照明の明視野観察の状態で複合顕微鏡(正立型または倒立型)を使用して、所定の鋼材サンプルの表面で非金属介在物を直接観察することができます。介在物はコントラスト比が高いことから、観察・分析が容易です。明るく反射した鋼材を背景に、介在物は暗く見えます。介在物の種類(球状の酸化物とケイ酸塩)間の形態的パラメーターは、グレースケール値(アルミナと硫化物)と同様に異なります。

鋼材中の非金属介在物解析

最新の画像解析ソフトウェア開発により、特にラボ環境の要求に対応した、鋼材中の非金属介在物評価用に統合されたデジタルソリューションを用いて、ユーザーを問わずすばやく作業を開始できます。ASTM E45(およびその他の国際規格)を考慮して設計された、金属顕微鏡用の材料科学ソフトウェアにより、あらゆるスキルレベルのユーザーが最小限のトレーニングだけで、正確かつ繰り返し鋼材中の介在物を評価することができます。

鋼材中の非金属介在物解析に推奨される機器

デジタル画像解析により鋼材中の非金属介在物を解析するための標準的な機器構成は、以下の要素からなります。

1. 倒立金属顕微鏡

研磨された平らなサンプルはXYステージに置くとピント合わせがしやすく、正立顕微鏡よりも倒立顕微鏡の方が適しています。倒立型では、スキャンステージの操作中でも一貫した焦点を確保できます。

2. 金属に特化した画像解析ソフトウェア

鋼材中の非金属介在物は、特有の高コントラストレベルや独特な形態パラメーターを持つことから、画像解析ソフトウェアを使用して正確かつ繰り返し容易に検出することができます。材料科学用の画像解析ソフトウェアには、ASTM E45をはじめとするさまざまな国際規格に準拠した結果が得られる、オプションのアドオンモジュールが用意されています。

標準的な機器構成:倒立金属顕微鏡、金属用対物レンズ(倍率:10倍)、顕微鏡用高解像デジタルカメラ標準的な機器構成:倒立金属顕微鏡、金属用対物レンズ(倍率:10倍)、顕微鏡用高解像デジタルカメラ標準的な機器構成:倒立金属顕微鏡、金属用対物レンズ(倍率:10倍)、顕微鏡用高解像デジタルカメラ

標準的な機器構成:倒立金属顕微鏡、金属用対物レンズ(倍率:10倍)、顕微鏡用高解像デジタルカメラ

3. 金属用対物レンズ(倍率:10倍)

非金属介在物の評価に必要な倍率の対物レンズです。

4. CCDまたはCMOSデジタル顕微鏡カメラ

介在物評価用のカメラを選ぶ際に考慮すべき最も重要な仕様は、画素サイズです。ASTM E45規格に従って、
1.0μm/画素より細かい校正済みデジタル画素サイズが要求されます。例えば、10倍の対物レンズと0.63倍のカメラアダプターを使用する場合、未校正の実際の画素サイズ6.3μm以上のデジタルカメラが必要です。

校正済みデジタル分解能 = (実際の画素サイズ)÷(対物レンズ倍率)÷(カメラアダプター倍率)

校正済みデジタル分解能 = (6.3μm)÷(10)÷(0.63)

校正済みデジタル分解能 = 画素当たり1μm

コード化された手動または電動式のレボルバーが推奨されます。また、画像解析ソフトウェアでは対物レンズの倍率を常に自動的に読み取れる必要があります。これにより、対物レンズの倍率を設定する際に、手作業による誤入力を防ぐことができます。

サンプルの解析対象領域の位置決めを行うには、手動または電動のXYスキャンステージが必要です。ただし、ASTM E45では分析用に160mm2以上の面積をスキャンしなければならないとしているため、電動ステージを使用して、規格に適合する面積をスキャンできるようにプログラムすることが推奨されます。

デジタルカメラと画像解析ソフトウェアの動作環境を満たすパソコンと高解像度モニターが必要です。

鋼材中の非金属介在物を解析する手順

1. 10倍の対物レンズを選択します。落射照明の明視野観察の状態でXYステージ上のサンプルを移動させ、介在物が含まれる解析対象領域を表示します。あるいは、電動ステージを使用する場合、必要な対象領域(ASTM E45の場合は160 mm2以上)をステージがスキャンするようにソフトウェアをプログラムします。

2. 画像解析ソフトウェアを使用して、デジタル画像を取得します。

3. 介在物評価ソフトウェアで、すべての介在物の定義と、酸化物と硫化物の区別を行うためのグレースケールしきい値を設定します。これで、画像解析ソフトウェアがこの二つの種類を識別することが可能になります。

4. ソフトウェアが画像を分析し、選択した基準に介在物が合致しているか評価します。


標準的な機器構成:倒立金属顕微鏡、金属用対物レンズ(倍率:10倍)、顕微鏡用高解像デジタルカメラ
標準的な機器構成:倒立金属顕微鏡、金属用対物レンズ(倍率:10倍)、顕微鏡用高解像デジタルカメラ


5. あらかじめ設定したテンプレートに基づいて、解析結果、介在物の画像、関連データを含むレポートが自動的に作成されます。

非金属介在物解析を合理化するその他の方法

鋼材中の非金属介在物と金属の背景間に固有の高コントラスト比により、材料科学に特化した最新の画像解析ソフトウェアを使用して、非金属介在物を正確かつ繰り返し評価することができます。多くのソフトウェアパッケージは、ASTM E45をはじめとするさまざまな国際規格に準拠しており、簡単に導入できます。また、非金属介在物の解析機能だけでなく、便利な接続性、レポート作成、およびデータ管理の機能も備わっているため、作業時間を短縮できます。レポートの自動生成、データの保存と共有、画像や関連データの高速検索が可能なソフトウェアは、作業効率向上に貢献します。非金属介在物の評価に対応するソリューションを検討する場合、経験豊富な顕微鏡メーカーに相談することが重要です。そうすれば、機器の選定から導入に至るまで、あらゆる段階でサポートを受けられます。

参考文献

Carmo Pelliciari, Dr. Eng., Metallurgical Consultant
米国材料試験協会(ASTM) E45-11規格
ASTM International, 100 Barr Harbor Drive, PO Box C700, West Conshohocken, PA, 19428-2959 USA

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