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事例・お役立ち資料

Magna-Mike 8600によるホール効果の厚さ計測の紹介

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著者:Tom Nelligan

MagnaMike8600装置ボトルプローブ

オリンパスMagna-Mike 8600のようなホール効果厚さ計は、小型かつ軽量な装置で、プラスチック、ガラス、複合材料、アルミニウム、チタンなどの非磁性材料を高速で正確性と再現性が高く測定できるよう設計されています。 この種類で最初に市販された装置は1980年代に導入され、現在では多くの業界で広く使用されています。 小型の鋼製ターゲット(ボール型、ディスク型、ワイヤー型)を試験体の片側に設置し、反対側から磁気式プローブを接触させ、スキャンします。 Magna-Mikeは、プローブ先端とターゲットの距離を正確に測定します。この測定値が肉厚に相当します。

1. 測定の対象

ホール効果厚さ計は、非磁性材料が、壁の片側にプローブの先端を置き、もう一方に鋼製のボールなどの小型のターゲットに置くことができる形状である場合、厚さ最大約25 mm(1インチ)までのすべての非磁性材料を測定できる可能性があります。 測定可能な材料には、プラスチックと複合材料、アルミニウム、チタン、およびその他あらゆる種類の非鉄金属、ガラス、木材と紙製品、一部の非磁性ステンレス鋼合金などがあります。 測定精度は肉厚の+/- 1%まで可能な場合があり、一般的に+/- 3%以上です。 重要な測定用途には以下が含まれます。

  • プラスチックボトルおよび包装
  • 容器やタンクなどの成形プラスチック部品
  • エアバッグのティアシーム
  • プラスチックおよび非磁性金属製小径チューブ
  • ガラス製容器および実験用ガラス器具
  • アルミニウム製飲料缶
  • 紙製および発泡食品容器
  • 機械加工の金属部品(電磁鋼や鉄を除く)
  • 合板およびパーティクルボード
  • タービンブレードを含む航空宇宙用部品

2. ホール効果厚さ計の仕組み

MagnaMike 8600ボトルプローブ ホール効果センサーは特殊な電子半導体であり、電流が厚さ計の表面を通過するときに出現する電圧のばらつきによる磁界の変化に反応します。 ホール効果の物理的特性の詳細については、https://ja.wikipedia.org/wiki/ホール効果を参照してください。 ホール効果センサーを厚さ計に使用する場合、小型のプローブ内に、センサー周囲に磁界を発生させる強力なマグネットとともにセンサーを組み込みます。 小型の鋼製ボールなどターゲットによって、プローブのマグネットにより生成された磁界が屈曲されます。屈曲効果はターゲットが接近するほど増大します。 試験体の厚さ(つまりターゲットとプローブ間の距離)が変化するに従い、ホール効果センサーの電圧も予測可能な形で変動します。 特定のプローブやターゲットに合わせて厚さ計がひとたび校正されると、これらの電圧の変化は、作成された検量線を使用したソフトウェアアルゴリズムによって、厚さ測定値に変換されます。

ホール効果厚さ計が実際に測定するのはプローブ先端とターゲット間の距離であるため、肉厚は間接的に測定されることを念頭に置くことが重要です。 正確な厚さ測定を確保するため、オペレーターはプローブとターゲット間の適切なアライメントを保ち、試験体に緊密に接触するよう配置することを確認する必要があります。 これについてはセクション4で詳述します。

3. プローブとターゲット

オリンパスMagna-Mike 8600には、さまざまな厚さや幅広い試験体の形状に対応可能な、2種類のプローブ、2種類のウェアキャップ先端、4種類のターゲットが用意されています。

MagnaMike 8600キャップ

(a)プローブの種類 - ストレート型および直角型プローブがあります。 プローブスタンドに直角に置くストレート型プローブは、ベンチトップ検査で最も一般的に使用される種類です。 直角型プローブは、非鉄鋳造品を含む一部の検査など、部品の形状でアクセスが制限される状況で使用するよう設計されています。

MagnaMike 8600キャップ1
標準タイプのウェアキャップ
MagnaMike 8600キャップ2
取り外し可能なチゼルチップ型キャップ

(b)ウェアキャップ - 交換可能なプローブウェアキャップをアクティブなホールセンサーに取り付け、試験体に接触させます。 ウェアキャップには、標準の丸い先端のほか、プローブを細いチャンネルや溝内に収める必要がある用途向けのチゼルポイント付きが用意されています。 これらは互いに付け替え可能で、すべての標準のターゲットに使用できます。

MagnaMike8600キャップ

(d)ターゲット - 使用可能なターゲットの種類には、標準の鋼製のボール、マグネチックボール、ディスク、ワイヤーがあります。 これらすべて(ワイヤーを除く)には複数のサイズが用意されています。 標準の鋼製ボールは、直径1.58 mm(1/16インチ)、3.17 mm(1/8インチ)、4.76 mm(3/16インチ)、6.35 mm(1/4インチ)から選べます。 これらは、材料の厚さが10 mm(0.4インチ)を超えないほとんどの用途において、デフォルトのターゲットとなっています。 マグネチックボールは、4.76 mm(3/16インチ)および6.35 mm(1/4インチ)から選べます。 これらは、10 mm(0.4インチ)~25 mm(1インチ)の範囲の測定に使用します。プローブとターゲット間の磁気引力が増大し、ターゲットの位置決めが容易になる状況でも使用されます。 ディスクターゲットは、測定を細いチャンネルや溝で行う必要がある場合に使用します。 フラットなエッジの直径12.7 mm(0.5インチ)、非常に細い溝用のV型エッジの直径6.35 mm(0.250インチ)から選べます。 最後に、直径1.14 mm(0.045インチ)のワイヤーは、ターゲットを穴または同様の形状的に制限されたアクセスポイントに深く挿入する必要がある用途に使用できます。

4. 一般的な範囲と精度

以下の図に、標準的なターゲットの一般的な範囲と精度を示します。 大きいターゲットを使用すると、一般的に測定範囲が大きくなり、細い対象物の測定において最良の精度が得られます。 ターゲットを選択する際には、以下の要素を考慮する必要があります。

  • 材料の最小屈曲部
  • 厚さ最大値
  • 測定精度
  • 材料の圧縮率(大型またはマグネチックボールは、小型または非磁性のターゲットボールよりも対象物を圧迫します)
  • 表面の硬度:マグネチックターゲットボールは、表面に沿ってスライドしますが、非磁性ターゲットボールは回転します。 そのため、マグネチックボールを使用する場合には、マグネチックターゲットボールで材料の表面を傷つけないように気をつける必要があります。

一般的には、試験体において自由に動かすことができる最大のターゲットボールを使用すると最良の結果が得られます。

ターゲット最小肉厚測定値最大肉厚測定値精度(標準タイプのウェアキャップ使用時)
基本校正マルチポイント
1.58 mm(1/16インチ)ボール(80TB1) 0.001 mm(0.0001インチ) 2.3 mm(0.090インチ) 4% 3%
3.17 mm(1/8インチ)ボール(80TB2) 0.001 mm(0.0001インチ) 7.6 mm(0.300インチ) 4% 2%
4.76 mm(3/16インチ)ボール(80TB3) 0.001 mm(0.0001インチ) 9.1 mm(0.360インチ) 3% 1%
6.35 mm(1/4インチ)ボール(80TB4) 0.001 mm(0.0001インチ) 12.7 mm(0.500インチ) 3% 1%
新規追加4.76 mm(3/16インチ)マグネチックボール(86TBM3) 4.06 mm(0.160インチ) 19.05 mm(0.750インチ) 3% 1%
新規追加6.35 mm(1/4インチ)マグネチックボール(86TBM4) 4.06 mm(0.160インチ) 25.4 mm(1.00インチ) 3% 1%
12.7 mm(0.500インチ)フラットエッジ型ディスク(80TD1) 0.001 mm(0.0001インチ) 9.1 mm(0.360インチ) 3% 2%
6.35 mm(0.250インチ)Vエッジ型ディスク(80TD2) 0.001 mm(0.0001インチ) 6.0 mm(0.240インチ) 3% 2%
新規追加直径1.14 mmワイヤー(0.045インチ)(86TW1) 4.06 mm(0.160インチ) 12.7 mm(0.500インチ) 3% 2%
注記:測定許容誤差 = +/- [(精度 x 肉厚)+0.0001インチ]
測定許容誤差 = +/- [(精度 x 肉厚)+0.003 mm]

5. その他の考慮すべき要素

校正:ホール効果装置は使用前に、測定に用いるものと同じプローブとターゲットを使用して校正する必要があります。 これは、ターゲットなしの状態、ターゲットをプローブに接触させた状態(厚さゼロ)、さらに2つ以上の参照厚さで測定値を記録することで行います。 これにより厚さ計において電圧の変化と厚さを作図する校正表が生成されます。 校正では、使用する各ターゲットが厚さ計のメモリーにある内部の参照テーブルと照合されます。 また校正では、ターゲットの可能性のある位置(ボールオンとボールオフ)の2つの極限値を測定し、これらの端点を参照テーブルに割り当てます。 最良の精度を得るために、既知の厚さの校正ポイントを追加して微調整します。 操作中は、プローブの向きが変わった場合や環境温度が変化した場合に、校正を検証する必要があります。

MagnaMike 8600の先端の図ターゲットボールの自由な動き:ホール効果厚さ計はプローブ先端とターゲットの距離を測定するため、ボールに形状的な障害がある場合、測定が不正確になる可能性があります。 同様に、プローブの先端は部品に緊密に接触している必要があります。 表面の形状により接触領域が制限される場合、チゼルポイント付きウェアキャップを使用する必要があります。

磁気を帯びた物や磁場の近傍:プローブは、炭素鋼製の作業台、棚、ブラケット、支柱、時計、貴金属品などの磁性材料、または電動機、類似する電磁波妨害の原因となる物質の上、または近くで絶対に使用しないでください。 コンピュータから少なくとも200 mm(8インチ)以上の距離で使用してください。 これらすべての要素はプローブの磁場に影響し、不正確な測定値の原因となります。 各ターゲットタイプにおける最大測定値に近い肉厚を測定する際に、特に重要になります。

プローブの向き:Magna-Mike 8600は、磁場における小さな変化を監視することで肉厚を測定するため、校正プロセスには地球の磁場の影響に対する自動補正が含まれます。 通常、プローブはスタンドに垂直に一定の方向で固定します。 ただし、異なる向き(例:水平に固定)でプローブを使用する場合、または、プローブで屈曲部の外側をスキャンする際に向きが変わる場合には、校正を更新する必要があります。 Magna-Mike 8600では、クイック校正(Q-CAL)機能を使用してこの補正を行います。 各ターゲットタイプにおける最大測定値に近い肉厚を測定する際に、特に重要になります。 ターゲットを離し、希望する向きにプローブを押さえながら[Q-Cal]キーを押します。

検査表面が粗いまたは垂直方向:粗い表面や溝がある場合には、プローブでスキャン中にターゲットボールが一瞬、材料表面から離れてしまい、実際の厚さよりも大きな測定値を表示する原因となることがあります。 垂直方向に置かれたプローブで縦方向に表面を測定する場合には、重力によってターゲットボールがプローブの中央線から外れてしまう原因となる可能性があります。 このような場合には、最小値キャプチャー(MIN Capture)モードを使用し、実際の最小肉厚値を確実に測定する必要があります。

ワイヤーターゲット:ワイヤーターゲットの使用時は、プローブ先端をワイヤーの終端部から少なくとも25 mm(1インチ)の位置に配置しなければなりません。 その他のターゲットと同様、Magna-Mikeは肉厚を直接測定するのではなく、プローブからターゲットまでの距離を測定するため、測定時は、ワイヤーを試験体にしっかりと押し付けてください。 この際、ワイヤーの傾きが測定値に影響するため、プローブの先端とワイヤー(通常垂直位置)間の角度アライメントを維持する必要があります。 ワイヤーターゲットは折り曲げないでください。

6. 詳細情報

Magna-Mike 8600

Magna-Mike™ 8600ホール効果厚さ計では、磁気式プローブを使用して、プラスチックボトルなどの非鉄金属または薄い材料の厚さを正確に測定できます。

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