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FlexoFORM™スキャナーを使用したパイプエルボーの孔食および層間剥離の検査


OmniScan SX探傷器によるパイプエルボーの検査

パイプエルボーのフェーズドアレイ検査の長所と短所

フェーズドアレイ(PA)技術には、高分解能データ、高画質イメージング、優れたカバー範囲などのいくつかの利点があります。 PA機器をパイプラインの検査に使用した場合、PAが提供するイメージングは判断が容易で、検出確率が高く、検査結果はオペレーターのスキルに左右されないことから、多くの場合、生産性が向上します。 こうした利点は、主に物理的な制約により、パイプエルボー検査では十分に実現されてきませんでした。 内輪の凹面から外輪の凸面にかけての表面形状の変化や、広い範囲の直径への対応は、既存のフェーズドアレイ機器では特に困難です。 大型で柔軟性のないフェーズドアレイプローブはパイプエルボーの曲面の検査には適していないため、小さい従来型のUT探触子を使用したスポット検査が行われており、この検査ではパイプにグリッドを描画しボックスごとに結果を記録する必要があります。 この方法には、時間と手間がかかる、オペレーターへの依存度が高い、またフェーズドアレイ技術による判断が容易なイメージングを利用できないといったいくつかの欠点があります。

従来型UTの小型探触子を使用したパイプエルボーの腐食マッピング
従来型UTの小型探触子を使用したパイプエルボーの腐食マッピング

放射線によるクラッド管エルボーの検査の課題

腐食性の液体を運ぶパイプを保護するため、パイプの内側に耐食材料がコーティングされていることがあります。 たとえば、炭素鋼パイプにはニッケル系合金などの金属で被膜されていることがよくあります。 クラッドパイプは孔食や層間剥離を生じやすいため、定期的な検査が不可欠です。 従来型UT検査に加えて、クラッドパイプの検査に用いられる一般的な方法に、放射線検査があります。 ただし、放射線によるパイプエルボーの検査にはいくつか欠点があります。 1つ目は、パイプラインの流れを停止し、パイプを空にし、エルボーを取り外して放射線検査を行う場所に送らなければならない点です。 2つ目は、プロセスに約1日半かかるため、時間的に非効率で、コストもかかります。 3つ目は、パイプエルボーは通常地面から離れた高い場所に配置され、重量があり、慎重に取り扱う必要があるため、オペレーターには少なからずリスクが生じます。

FlexoFORMパイプエルボースキャナーを使用したフェイズドアレイソリューション

オリンパスは、クラッドパイプエルボー検査に固有の課題の解決に役立つ、パイプエルボー用の柔軟性のある超音波フェーズドアレイプローブおよびスキャナー、FlexoFORMソリューションを開発しました。 この革新的なプローブとスキャナーのソリューションは、パイプエルボー全体の高分解能の厚さマッピングを提供できるため、正確な診断をより容易に行うことができます。 FlexoFORMスキャナーによって得られる精密な情報によって、迅速かつ確実にパイプエルボーの稼働寿命を評価し、修理やメンテナンスの要件を決定することができます。

FlexoFORMソリューションは、柔軟なフェーズドアレイプローブ、局所水浸用ウエッジ(広い範囲のパイプ径に対応)、スキャナーの3つの要素で構成され、安定性と、検査部位の表面における位置情報を提供します。

FlexoFORMソリューションの構成要素

FlexoFORMソリューションの構成要素

クラッドパイプエルボーの孔食および層間剥離検査の結果

FlexoFORMソリューションを使用して、クラッドパイプエルボー全体のスキャンを現場で行い、完了まで1日以上かかる放射線検査法の何分の1かの時間で完了することができました。 オリンパスが実施した検査では、ラインの稼働中にパイプエルボーのスキャンを実施することが可能なため、時間だけでなく運転コストも削減しています。 ラインからのエルボーの取り外しと放射線検査室への移動に関わる安全性の問題も軽減しています。

このケースでの試験片は、内側にニッケル溶接被膜層のある炭素鋼パイプでした。 パイプエルボーは外径16インチ、厚さ23 mmです。 FlexoFORMスキャナーによって得られた分解能は、4エレメントのビーム開口部で1 × 2mmでした。

準備時間を含めて、エルボー全体の検査時間は35分でした。

FlexoFORMスキャナーによって得られた結果の明確さと精度を確かめるため、製品から取得した試料を使用して比較を行いました。 この断面図は縦方向に半分に切断したもので、被膜溶接パスと、2つの溶接パターンの接合部で孔食が発生していることが確認できます。

OmniScan®機器のC-スキャンおよびB-スキャンディスプレイは、フェーズドアレイ技術によって提供される高分解能イメージングが、どのように判断と診断を容易にしているかを示しています。 孔食と被膜の融合不良が特定しやすくなっています。 溶接被膜パスが交わる接合点には、特に被膜と母材間の融合不良がある場合に、孔食を生じやすいというフラグを付けることができます。 この情報により、検査担当者がパイプエルボーの寿命をより良好に推定し、検査スケジュールを最適化することが可能です。

被膜溶接パスの接合点で孔食が発生
被膜溶接パスの接合点で孔食が発生
孔食と溶接被膜融合不良のC-スキャンおよびB-スキャンビューによるデータ
孔食と溶接被膜融合不良のC-スキャンおよびB-スキャンビューによるデータ

FlexoFORMスキャンソリューションによって提供される利点のまとめ

FlexoFORMフェーズドアレイソリューションは、クラッドパイプの孔食と層間剥離を点検する際にパイプエルボー検査の課題を克服するのに役立ちます。 エルボー全体のスキャンを現場で完了することができ、パイプの使用を停止する必要はありません。 柔軟なフェーズドアレイプローブを使用することで、フェーズドアレイにより提供される高度な高分解能イメージングによる利点の活用、またスキャナーのエンコーダーにより、パイプエルボー全体の厚さマッピングが可能です。 このソリューションはコスト効果に優れ、使いやすく、広い範囲の直径に適用できます。

Olympus IMS

この用途に使用される製品
OmniScan™X3シリーズは、さまざまなフェーズドアレイツールを網羅する探傷器です。革新的なTFMと高度な可視化機能によって、自信を持って検査を実行できます。また、強力なソフトウエアとシンプルなワークフローにより、高い生産性の実現をサポートします。
革新的なFlexoFORMスキャナーで、 困難だったパイプエルボーの腐食検査が容易になります。 このスキャナーの機械的に柔軟な構造を実現したフェーズドアレイテクノロジーによって、パイプエルボーの表面を、外輪から内輪にいたるまでマッピングできます。
シングルグループで軽量のOmniScan SXは、読み取りやすい8.4インチ(21.3cm)のタッチスクリーンを搭載し、コスト効果に優れたソリューションを提供しています。 OmniScan SXには、SX PAおよびSX UTの2種類のモデルを用意しています。 SX PAは、16:64PRの装置で、UT専用のSX UTと同様に、従来型UTチャンネルを備え、P/E、P-CまたはTOFD検査に対応しています。
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