性能実証イニシアティブ(PDI)プログラムについて
米国原子力規制委員会(NRC)は米国内における核施設の運用に関わる規則および規定を定める機関であり、これらの規則・規定は米連邦政府発行の規則集10CFR50として公表されます。原子炉の設計、建設および運転についての工学的な規格としてNRCが策定したのが“ASME Boiler and Pressure Vessel Code”(ASMEボイラー・圧力容器基準)です。このASME基準のセクションXIは、原子力プラント稼働中における部材検査の規則を記載しています。また、付録VIIIにはUT検査システムの性能実証についての、検査員と機器および手続きを一体として捉えた補足要件が記載されています。 これは電力会社が実施するPDIプログラムで構成されており、そのPDIプログラムの運用を管轄するのがEPRIです。
原子力プラントの部材メーカーが超音波機器や探触子を検査で使用するためには、これらの機器をPDIが規定する一般的な手続きに従って試験を行い、性能要件が満たされていることを実証しなければなりません。実証試験はEPRIが管理するPDI実験室で、厳格に管理されたサンプルを対象として行われます。
検出と長さ判別を目的として、配管に適用されるPDI手続き
配管溶接部の検出および長さ方向のサイズ判別を目的として、次の2通りの汎用的なPDI手続きがあります。
- PDI UT-1: フェライト系配管(Ferritic Piping)
- PDI UT-2: オーステナイト系配管溶接(Austenitic Pipe Welds)
- 粒界応力腐食割れ(IGSCC)の影響を受けやすいオーステナイト系配管を含む
本資料はPDI UT-1の内容も説明しています。
PDI UT-1に準拠して実施する検査の目的は、指定された検査対象容積内に存在する不連続部を、検査対象物の表面の外部から正確に検出してその長さ方向のサイズを判別することです。 その際には、横波を主たる伝播モードとして使用します。PDI UT-1が適用できる範囲は、3.5から55インチまでの直径を持ち、肉厚が0.237から8インチまでのフェライト系配管の溶接です。探触子周波数は、肉厚が0.5インチ未満の部材では5MHz、肉厚が0.5インチを超える部材の場合は2.25MHzです。 探触子の角度は45、60および70°とします。
適合性マトリックス
オリンパス製探傷器および探触子の概要を次の表に示します。
PDI UT-1フェライト系配管試験適合性マトリックス | ||||||||
探傷器 | ||||||||
メーカー | 探触子 | 振動子径 | 周波数 | ウエッジ/角度 | EPOCH XT | EPOCH 1000i | EPOCH 600 | |
オリンパス | A540-SM | 0.5 | 2.25 | ABSA-5T-45°,60°,70° 鋼 |
X
| |||
A543S | 0.25 | 5 | ABSA-4T-45°,60°,70° 鋼 |
X
| ||||
A549S-SM | 0.375 | 2.25 | ABSA-7T-45°,60°,70° 鋼 |
X
| ||||
C540-SM | 0.5 | 2.25 | ABSA-5T-45°,60°,70° 鋼 |
X
|
X
| |||
C541-SM | 0.5 | 5 | ABSA-5T-45°,60°,70° 鋼 |
X
|
X
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C542-SM | 0.25 | 2.25 | ABSA-4T-45°,60°,70° 鋼 |
X
|
X
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C543-SM | 0.25 | 5 | ABSA-4T-45°,60°,70° 鋼 |
X
|
X
| |||
C549-SM | 0.375 | 2.25 | ABSA-7T-45°,60°,70° 鋼 |
X
|
X
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C551-SM | 0.375 | 5 | ABSA-7T-45°,60°,70° 鋼 |
X
|
X
| |||
GE | COMP-G | 0.25 | 2.25 | 45, 60, 70 |
X
|
X
| ||
COMP-G | 0.25 | 5 | 45 |
X
|
X
| |||
COMP-G | 0.25 | 5 | 60, 70 |
X
|
X
|
X
| ||
COMP-G | 0.375 | 2.25 | 45, 60 |
X
|
X
| |||
COMP-G | 0.375 | 2.25 | 70 |
X
|
X
|
X
| ||
COMP-G | 0.375 | 5 | 45, 60, 70 |
X
|
X
|
X
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COMP-G | 0.5 | 2.25 | 45, 60, 70 |
X
|
X
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COMP-G | 0.5 | 5 | 45, 60, 70 |
X
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* その他の会社からウエッジをご購入の場合は、その販売元へ部品番号をお問い合わせください 。 |
適用可能な旧モデル:
以下のモデルも、その耐用期間中に各種のPDI汎用手続きがされて、検査適合性が証明されています。
- EPOCH II、 II B、 III、4
- SONIC 1200S、136、137
その他のEPRI手続き:
上記以外にも次のような汎用手続きが存在します。
PDI-UT-4 穴付きスタッドボルト
PDI-UT-5 スタッドボルトのSB検査
PDI-UT-6 原子炉圧力容器溶接
PDI-UT-7 原子炉圧力容器溶接における肉厚測定ときず長さ判別
PDI-UT-8 同種および異種金属での肉盛溶接
PDI-UT-10 異種金属溶接
PDI-UT-11 原子炉圧力容器ノズルにおける、シェル溶接とノズル内側半径のきず検出およびサイジング
弊社はこの分野の動向に注意を払い、本内容を定期的に更新しています。