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TOFDによる溶接ルート部の腐食・侵食検査


Tofd for Weld Root Corrosion and Erosion

配管や流動システムにおける腐食・侵食を考える場合、溶接接合部や熱影響領域(HAZ)にこれらの問題を引き起こすいくつかの条件が存在します。主な要因は冶金学、化学、または流動に関連するものですが、これらの原因による金属損失の発生は、溶接部と母材の破損を引き起こします。腐食・侵食した溶接部や母材の形状によっては超音波検査の適用が極めて困難となる可能性があり、そのような形状は正確な異常検出と測定を妨げます。伝播時間回折法(TOFD: time of flight diffraction)は溶接接合部の腐食や侵食評価のための有効な手段であり、さらに、類似した条件を示すFAC(流動加速腐食)にも適用できます。いずれの方法も検査の目的は肉厚、溶接、HAZを正確に検査することです。残存部分の形状は予測不能であるため、パルスエコー方式の超音波では検査できないことがあります。

TOFDは一般的な溶接検査として長期間使用されており、優れた欠陥サイジング能力を有する、迅速かつ容易に実施可能な手法として豊富な実績があります。検出と欠陥サイジングという観点から見ると、TOFDは主として回折エネルギーと反射エネルギーとの対比を利用する測定法であることから、本質的に欠陥の方位による影響を受けにくいという特性があります。TOFD技術は2種類の探触子を使用します。発信用探触子が検査領域に音波を送り込み、溶接部の反対側に位置する受信用探触子が底面や領域内の異常部位により生ずる回折、反射エネルギーを受信します。一般的なパルスエコー法では検査領域の形状によって音波の方向がずれてしまう恐れがあり、測定・評価が不正確になることがあります。

Pulse Echo Shear wave beam being reflected at off angle
パルスエコーの横波ビームはオフ角度で反射

Illustration of diffracted energy coming off weld root/Haz in all directions
溶接接合部/HAZ領域で反射され、あらゆる方向へ進む回折エネルギー

このようなタイプの溶接検査におけるTOFDの標準的手法として、それぞれの溶接部位に対して異なる三つの位置(溶接部の中央、左側、右側)からTOFD測定を実施します。このように特定の複数の位置からスキャンを行うことによって最良の結果が得られます。この方法によって材料損失の最も著しい箇所の検出が保証され、溶接部のどちら側で腐食・侵食の兆候が発生しているのかを決定することができます。さらに、底面信号で検出できない領域の除去が可能になります。使用する装置によって、これらのスキャンを並行して実行できるケースと個別にデータを収集するケースがあります。

Illustration of 3 probe positions for acquisition: Offset 1, Centered, Offset 2 (left to right)
データ取得に用いる3種類の探触子位置:左側、中央、右側

TOFDでは、セミオートまたはオートスキャナーを使用して溶接部のスキャンを行います。必要なスキャン分解能を考慮して各種のスキャン設定を行います。測定データは恒久的に保存が可能なため、検証や今後取得するスキャンデータとの比較も可能です。取得後のデータは探傷器または、解析用ソフトウェアによって解析され、問題となる領域が識別されます。金属損失の激しさを評価するために、データ変動(時間/深さ)が測定されます。続いて、カーソル位置を適宜設定して深さ/肉厚測定値を読み取る領域を定義します。腐食や侵食の測定のためにスキャンを行うと、同時に溶接部の欠陥(空隙、溶解不良、割れなど)も検出します。

Tofd scanner on weld
溶接部に取り付けたTOFDスキャナーと探触子

Scan of weld with cursor positioned at area of no corrosion, A-scan showing good lateral wave and backwall signal with no indications in between
溶接部のスキャン例(カーソルは非腐食部を指す):A-スキャンは良好な横波と底面信号を示し腐食は見られない。

Scan of weld with cursor positioned at area of no corrosion, A-scan showing good lateral wave and backwall signal with no indications in between
溶接部のスキャン例(カーソルが腐食部位を指す):A-スキャンは、材料損失によって底面信号に時間シフトが発生していることを示す。

Measurement in good area showing Thickness as 7.39mm.  Tofd (m-r) reading shows distance between positioned cursors.
Measurement in good area showing Thickness as 7.39mm.  Tofd (m-r) reading shows distance between positioned cursors.

良好な領域の測定結(肉厚7.39mm):TOFD(m-r)値は2本のカーソル間の距離を示す。

Measurement corroded area showing Thickness as 5.28 mm.  Cursors are positioned at top of plate (0) and highest point of material loss. In this example there is 2.11 mm of material loss due to corrosion.
Measurement corroded area showing Thickness as 5.28 mm.  Cursors are positioned at top of plate (0) and highest point of material loss. In this example there is 2.11 mm of material loss due to corrosion.

腐食した領域の測定結果(肉厚5.28mm):カーソルはプレート上端(0)と材料損失の最高点上の位置。この例では、腐食の進行により2.11mmの材料損失が発生。

TOFDに適合する検査装置(代表例)

  • OmniScan SXまたはMX2(PAまたはUTモデルを必要なチャンネル数、超音波フェーズドアレイ機能の必要性に応じて選択)
  • TOFD円周方向スキャナー(HST-Liteまたは類似製品を必要な探触子ホルダー数、その他のアプリケーションに固有な条件[パイプかプレートなど]に応じて選択)
  • TOFD探触子とウエッジ(各種周波数、角度、鋼種)
  • 接触媒質供給システム(WTR-SPRAYER-8Lまたは相当品)
  • TomoView AnalysisまたはOmniPC解析ソフトウェア

腐食/侵食検査におけるTOFDの利点

  • 高速スキャン
  • コスト効率向上
  • 社内監査対応、再検索可能な恒久的データセット
  • 高精度な欠陥サイジング機能
  • 不規則な形状の金属損失部における優れた検出性能
  • 短時間で解析結果を取得
  • 使いやすいTOFDスキャンパッケージ、優れた可搬性
Olympus IMS

この用途に使用される製品
OmniScan™X3シリーズは、さまざまなフェーズドアレイツールを網羅する探傷器です。革新的なTFMと高度な可視化機能によって、自信を持って検査を実行できます。また、強力なソフトウエアとシンプルなワークフローにより、高い生産性の実現をサポートします。
OmniScan™ MX2の2チャンネルの従来型超音波モジュール(UT2)は、TOFD(Time-of-Flight Diffraction)検査に使用できます。パルサーの高電圧(340 V)、PRF機能の向上、SN比(SNR)の改善を特長としています。
シングルグループで軽量のOmniScan SXは、読み取りやすい8.4インチ(21.3cm)のタッチスクリーンを搭載し、コスト効果に優れたソリューションを提供しています。 OmniScan SXには、SX PAおよびSX UTの2種類のモデルを用意しています。 SX PAは、16:64PRの装置で、UT専用のSX UTと同様に、従来型UTチャンネルを備え、P/E、P-CまたはTOFD検査に対応しています。
OmniScan MX2に、UTチャンネルを備えた新しいフェーズドアレイモジュール(PA2)、 TOFD (Time-of-Flight Diffraction)に使用可能な新しい2チャンネルの従来型超音波モジュール(UT2)に加え、好評なOmniScan MX2プラットフォームの機能を拡張する新しいソフトウェアプログラムが搭載されました。
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