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フェーズドアレイによる小径パイプの検査


Small Diameter Tube and Pipe Inspection with Phased Array

直径の小さなパイプの検査には、いくつかの特有な難点があります。その例として、パイプとパイプ間が狭くアクセスが難しいこと、パイプ/管の肉厚が非常に薄いこと、検査箇所の数が膨大になること、などを挙げることができます。高度な超音波技術を用いようとするとスキャナーのメカニズムが複雑になり、プローブのサイズも大きくなるため、これまでは放射線透過試験(RT)がこのような用途への推奨法とされてきました。しかし現在では、超音波フェーズドアレイ技術(PA)が小径パイプ/管用の高速で使いやすい検査法を提供しています。超音波フェーズドアレイを使用することによって、放射線透過試験に付随する難点や使い難さ(安全性、速度、費用、法規制の問題)をすべて回避できるばかりでなく、検査部位をあらかじめクリーニングする必要もなくなりました。

オリンパスのCOBRAソリューションは、COBRAスキャナーとアクセサリーキットを超音波フェーズドアレイ探傷器のOmniScanに組み合わせた、小径パイプ検査用として特別に設計されたシステムです。 COBRAソリューションキットは、直径0.84インチ~4.50インチ(21mm~114mm)までのパイプ/管検査に必要なすべての機能を完備したスキャニングソリューションです。隣接した位置関係にあるパイプ/管の検査の場合、COBRAスキャナーは、管と管の隙間が12mm(0.5インチ)あれば設置し操作することができます。スキャナーはパイプ/管にバネにより取り付けられ、パイプ/管の片側にだけアクセス可能な状況でも全周(360°)スキャンを行うことができます。またこのバネによる取付構造により、COBRAは非強磁性材料でも問題なく取り付けることができます。COBRAスキャナーは、溶接部の両側から同時に検査を行えるばかりでなく、片側からのみアクセス可能な溶接部(エルボー、パイプと部品の接続部など)では、1個のフェーズドアレイプローブによる検査も可能です。

COBRAソリューションのポータブルキットには、CORBAの使用範囲をカバーするすべてのツール類を備えています(設定テンプレート、プローブ、曲面型ウエッジ、その他のアクセサリー)。 このキットは、ユーザーのニーズに応じて完全版、または、シングルプローブシステムとして購入可能です。CORBAソリューションはASME準拠の半自動システムですが、データ収集からコード化までの完全な処理を要求する他の検査規格にも適合します(放射線透過試験の代わりとして超音波の使用を規定する規格も含みます)。

Small Diameter Tube and Pipe Inspection with Phased ArraySmall Diameter Tube and Pipe Inspection with Phased Array

Small Diameter Tube and Pipe Inspection with Phased ArraySmall Diameter Tube and Pipe Inspection with Phased Array

小径パイプを対象とした超音波フェーズアレイ検査の性能をさらに高めるため、COBRAソリューションはこのアプリケーション用に設計されたプローブを取り揃えています。フェーズドアレイプローブでは、パルスと素子の受信感度をコントロールすることによって電子的に前方軸または能動軸に焦点を合わせることができます。複雑なアレイ構成(デュアル・マトリックス・アレイなど)を持たないプローブの場合、これまで受動軸はアパーチャーと素子の大きさ、およびプローブ周波数で決まる自然なビームの広がりのままで使用されてきました。

CCEV(Concave Curvature in Elevation/仰角凹曲)プローブは、フェーズドアレイプローブの仰角軸(横軸または受動軸とも呼ばれます)に曲率を与えることによって作り出されたプローブです。この曲率は、パイプライン建設の溶接部や小径パイプと管の溶接部の代表的な直径と肉厚を想定して実験室での試行を繰り返し、ビームのシミュレーションを行うことによって決定されます。水浸プローブでレンズを使用するのと同様、曲率を与えることによりビームスポットの幅が小さくなるので、ビームの拡散効果が抑えられ、長さサイジング能力が向上します。また、レンズを内部で一体化したタイプでは、標準的な平面ウエッジやフラットな外ケースでも使用することができます。オーステナイト系パイプや管などのさまざまな材質にも対応できるように、何種類ものプローブ周波数やウエッジ(屈折縦波、横波)が用意されています。TOFDに適合する超音波ウエッジやプローブも取り揃えています。

*注: 縦波用およびTOFD用のウエッジは、検査時により大きな隙間を必要とします。

Phased array (shear)
フェーズドアレイ(横波)
Phased array (ref. longitudinal)
フェーズドアレイ(屈折縦波)
TOFD
TOFD

linearinternal focus
flatcurved

焦点なしアレイと焦点付きアレイの例(焦点付きのビームのスポットサイズが小さい)
Results of inspection on 2.75” (70mm) dia. Pipe with induced 6.9mm x .5mm OD notch. Note signifigant sharpness of data and improved sizing using CCEV probe. Data taken utilizing Cobra Scanner. Sizing done via – 6dB drop method.
直径2.75インチ(70mm)のパイプを対象とした検査結果(6.9mm x 0.5mm ODノッチが作り込まれている)。 CCEVプローブの使用により、データがより明瞭になり、サイジング能力が向上(-6dB ドロップ法によるサイジング)

使用機器

  • OmniScan MX/MX2/SX(SXはシングルプローブ/グループ取得ファイルにのみ対応)
  • COBRAソリューションキット(7.5MHzアレイを標準実装):
    • ハーフスキャナーキット - U8775327/COBRA-K-ONESIDED
    • 完全デュアルプローブキット – U8750055/COBRA-K-4.5
  • U8775153/WTR-SPRAYER-4L(または、他の適切な接触媒質セット)
  • OmniPC/NDT Setup Builder/TomoView (オプションとして提供されるスキャン計画/解析ソフトウェアプログラム)
  • その他の特殊/関連アプリケーション(詳細についてはお問い合わせください) :
    • 互換フェーズドアレイプローブ(1.5/2.225/2.5/5/10MHz)
    • 屈折縦波ウエッジ完備キット(U8722168)
    • TOFDウエッジ完備キット(U8701348)
    • 予備部品キット(各種あり)

利点の要約

  • 外径0.84インチ~4.5インチ(21mm~114mm)のパイプに対応
  • すべての標準パイプにおいて、隙間が12mm(0.5インチ)あれば使用可能、限られたスペースでの使用が可能
  • 2個のフェーズドアレイプローブにより、1回のパスで溶接検査完了
  • パイプと部品間などの評価には、片側検査の構成が可能
  • パイプの全周にわたり、安定した一定の圧力を与えるように設計
  • 半径方向移動が滑らかになり、軸方向へのドリフトを制限するウレタンホイールを装備
  • 優れたエンコーダー分解能(32ステップ/mm)
  • コンパクトで軽量、優れた可搬性
  • ウエッジとプローブを素早く簡単に交換可能
  • 調節可能なプローブ間距離(0~55mm)
  • パイプの片側から操作可能
  • 強磁性系、非強磁性系パイプの両方で使用可能なバネ留め式スキャナーを採用
  • さびない防水構造、CE準拠
  • エンコード化された全データ収集を要求される規格に適合
  • シングルプローブ構成またはフル装備のプローブ構成の提供が可能なため、多様な装置と予算に適応
  • フェーズドアレイ(横波、屈折縦波)とTOFD検査のどちらにも使用可能

Olympus IMS

この用途に使用される製品
OmniScan MX PAでは、手動または自動でのフェーズドアレイ検査を行います。 フル機能を搭載したA-スキャン、B-スキャン、S-スキャン、およびC-スキャン表示と、高性能リアルタイムデータ処理を実現しています。 16:128素子や、16:16M、16:64M、32:32、および32:128の構成が可能。
OmniScan™ MX2の2チャンネルの従来型超音波モジュール(UT2)は、TOFD(Time-of-Flight Diffraction)検査に使用できます。パルサーの高電圧(340 V)、PRF機能の向上、SN比(SNR)の改善を特長としています。
TomoViewは、超音波信号の設計やデータ収集、画像化と分析を行うパワフルで柔軟なPCベースのソフトウェアです。
この新ソフトウェアは、OmniScanデータ解析のための効率的で低価格のオプションソフトウェアです。 OmniScan搭載のソフトウェアの同じ解析ツールを備えており、PC上で自在に操作することができます。
シングルグループで軽量のOmniScan SXは、読み取りやすい8.4インチ(21.3cm)のタッチスクリーンを搭載し、コスト効果に優れたソリューションを提供しています。 OmniScan SXには、SX PAおよびSX UTの2種類のモデルを用意しています。 SX PAは、16:64PRの装置で、UT専用のSX UTと同様に、従来型UTチャンネルを備え、P/E、P-CまたはTOFD検査に対応しています。
OmniScan MX2に、UTチャンネルを備えた新しいフェーズドアレイモジュール(PA2)、 TOFD (Time-of-Flight Diffraction)に使用可能な新しい2チャンネルの従来型超音波モジュール(UT2)に加え、好評なOmniScan MX2プラットフォームの機能を拡張する新しいソフトウェアプログラムが搭載されました。
COBRA™手動スキャナーは、OmniScan X3探傷器と併用して小径パイプの円周溶接部検査を行います。COBRA小径スキャンユニットには2個のPAプローブを装着可能で、外径0.84インチから4.5インチまでのパイプを検査できます。
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