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TFM(トータルフォーカシングメソッド)検査用のAIMモデリングツールを使用して反射源に最適な伝搬モードを選択


非破壊検査へのトータルフォーカシングメソッドの導入

トータルフォーカシングメソッド(TFM)は、非破壊検査(NDT)分野に大きな影響を巻き起こしました。 しかし、TFMを使用する上で解決されていない課題がいくつかあります。特定の検査に対する適正な伝搬モード(モードセット)の選択などです。 このメソッドを早期に導入した一部のユーザーは、誤ったモードを使用すると画面から表示が完全に消えてしまう場合があることにすぐに気付きました。これが重大な影響を引き起こすことは明らかです。

TFMの適切な設定選択の課題

特定の検査に対して伝搬モード(モードセット)を選択する場合、検査員は検査対象部位に発生している可能性がある欠陥の種類を把握する必要があります。 欠陥の種類が分かると、反射源の方向性に関するいくつかの情報が得られるので、超音波検査(UT)では種類の把握は重要な意味を持ちます。 従来型UT、フェーズドアレイUT、TFMでも、基本的な原則は同じです。 欠陥検出率(POD)が最大になるのは、送信された音響ビームの入射角が反射源に対する反射角と等しい場合です。 もう一つの考慮事項は、プローブパラメーターです。 使用するにプローブよっては、振幅が大きく音波が対象欠陥まで到達できない場合があります。 特定の位置についてはTFM区域が描けても、プローブが持つ物理特性によって、対象部位の奥深くにフォーカスできない可能性があります。 考慮する要素がたくさんある中で、検査が適正に行われているかを簡単に確認するにはどうしたらよいでしょうか。

各種モード

一連のSDHのイメージングに使用した各種モード

同じプローブ位置

TTモード
TT
TTTモード
TTT
LLLモード
LLL

図1:一連のSDHのイメージングに使用した各種モード。 例では試験体がとても厚いため、セルフタンデムモード(TTTおよびLLL)はあまり適応しません。

Acoustic Influence Mapモデリングツール搭載のソリューション

OmniScan® X3フェーズドアレイ探傷器には、スキャンプランツールが内蔵されています。 内部には、TFM検査に特化して設計されたAcoustic Influence Map(AIM)モデリングツールが搭載されています。 AIMツールを使用すると、ユーザーは自分の検査に合わせて正しい伝搬モード(モードセット)を選択できます。

TFMによりAcoustic Influence Map(AIM)を表示するOmniScan X3スキャンプラン

図2 - TFMモードによるOmniScan X3スキャンプラン。図1に示したプローブ、ウェッジ、および標準試験片について生成されたAcoustic Influence Map(AIM)が表示されています。 検査範囲が予測され、TTモードセットの感度値(41.42)が示されます。 取得されるTFM画像も図1(左)に表示されています。 上のヒートマップにある明るいオレンジ色の四角形はTFMゾーン(ユーザーによって区切られた関心領域)を示します。

TTTモードセットLLLモードセット

図3 - セルフタンデムモードのTTTおよびLLLモードセットについて検査範囲と感度を予測したAIMモデル。それぞれの感度インデックス(SI)値は、TTTモードセットが13.89、LLLモードセットが2.18です。 これらは、図1に示したTFM画像に対応しています(中央がTTTモードセット、右がLLLモードセット)。

AIMモデリングツールでは複数のパラメーターが考慮されます。プローブとウェッジ、音速、厚さ、試験体の形状、探傷方法、モードセットや、当然ながら、検査員が対象欠陥の種類を示すために「影響ゾーン」メニューで入力したパラメーターが含まれます。

欠陥の方向は、音波ビームが欠陥を良好に検出可能な程度に最も影響を与える要素です。 AIMモデリングでは、欠陥の特定角度における信号範囲の良好度がユーザーに明確に示されます。

最適な伝搬モードをAIMモデリングツールで判別

ユーザーは対象区域を設定し、欠陥の想定される方向(角度)を入力するか、通常、検査波長より短い欠陥(ポロシティやなど小さな容積測定タイプの欠陥)に対して「全方位タイプ」を選択します。

カラーパレットは、信号の影響ゾーンに対する感度性能を部分ごとに明確に示します。 それぞれの色は3デシベル範囲に対応し、最大振幅の超音波応答を示します。

カラーパレットは、信号の影響ゾーンに対する感度性能を部分ごとに示します。

 

−5度調整された欠陥

−15度調整された欠陥

−25度調整された欠陥

図4 - 欠陥の方向を−5度、−15度、−25度で調整した場合のAIMの変化を示す、1つのモードセットに対する3つのスキャンプランスクリーンショット。

感度インデックスの重要性

注目すべき重要な点は、各色の実際値がマップごとに変化することです。 各AIMシミュレーションの色のデシベル範囲が、正規化後の予測される最大振幅から逆に区分されるからです。

あるAIMを別のAIMと比較できるように、感度インデックス(SI)値が表示されます。 SIとは、正規化前の特定モードセットのマップ全体に対して推定される最大感度を表す、任意の単位の値です。

図2と図3で生成されたマップに示す感度インデックス値は次のようになります。

  • TTモードセットは41.42
  • TTTモードセットは13.89
  • LLLモードセットは2.18

図2と図3のヒートマップでは、TTTモードセットの予測範囲はTFMゾーン(オレンジ色のボックス)を十分にカバーしていませんが、LLLモードセットとTTモードセットは同じくらい良好な選択肢であることがはっきりわかります。 どちらのマップも、赤色とオレンジ色のエリアがTFMゾーンの適切な範囲を示します。

ただし、TTマップとLLLマップの感度インデックス値(それぞれ41.42と2.18)を比較すると、TTモードセットマップで赤色とオレンジ色のエリアの感度は、LLLモードセットマップより19倍強いことがわかります。

予測感度が高いほど、TFM検査でエリアの予測SN比が良好になります。

TFMに対するAIMモデリングツールの特長のまとめ

例では、3つのモードセット(TT、LLL、TTT)のAIMシミュレーションを比較した結果、TFMゾーンを最も高い感度で範囲に収めるのはTTモードセットであると予測できました。 対応するモードセットを使用して取得したTFM画像(図1)は、標準試験片内の欠陥を検出するイメージング能力が、モデリングツールによって正しくシミュレーションされることを示します。 このことから、AIMモデリングツールはユーザーがTFM伝搬モードを選ぶ際の当て推量をなくすのに役立つことがわかります。

TFMは産業用検査用途に有益ですが、適切なモデリングツールがなければ、正しい音響範囲や感度を予測するのは困難です。 AIMモデリング機能を搭載したOmniScan X3探傷器のスキャンプランツールを使用すると、検査員は検査に最適なTFMモードを的確に判断することができます。

フェーズドアレイ超音波探傷に対するTFMの利点についての詳細は、当社のアプリケーションノート「TFMの使用によるフェーズドアレイ超音波イメージングの向上(英語)」をご覧ください。

AIMモデリングツール:反射源角度の調整に従ってAIMモデリングが変化します
Olympus IMS

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OmniScan™X3シリーズは、さまざまなフェーズドアレイツールを網羅する探傷器です。革新的なTFMと高度な可視化機能によって、自信を持って検査を実行できます。また、強力なソフトウエアとシンプルなワークフローにより、高い生産性の実現をサポートします。
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