オリンパスのポータブルX線回折装置(pXRD)および蛍光X線分析計(pXRF)を使用すると、技師、エンジニア、科学者は、各種のセメント、コンクリート、個々の構成材について、リアルタイムの定量的同定が可能になります。 これらの小型装置を現場での分析に用いれば、材料相を速く正確に同定・定量化できます。
試料を外部のラボに送ると、数日または数週間かかることがありますが、オリンパスの特許取得済みpXRDおよびpXRFを使用したセメント分析では、数分もしくは数秒のみで済みます。 これらの装置をセメント製造や品質管理に使用すれば、採石場、貯蔵場、サイロから、混合プロセスを使用するキルンやミルへの供給材料の価値を確認するのに役立ちます。
- 現場でカルシウムレベルをチェック
- 地中から採掘したあらゆる材料の品質を把握
- 貯蔵場ヤードにあるすべてのパイルの元素組成を把握
- キルンに到達する前に貯蔵倉から正しい材料適切な原料を除去していることを確認
- 正しい適切な混和材料を追加していることを確認
- 供給材料を分析
- 添加する石こうの硫酸塩(SO4)含有量が正しいか検査
- キルンからの混合材料を検査して切り替え作業を迅速化
- 再ブレンドのために混合パイルの組成分析結果を把握
- キルンのレンガに対する受け入れ品質管理を行って、正しい材料で製造されていることを確認し、初期故障不良を防止
オリンパスのXRDを採用することの利点
現場での定量化
オリンパスのpXRD装置は、化学組成や方位に関係なく、あらゆる鉱物相を現場でリアルタイムに同定できます。 銅(Cu)のX線管が装備された回折装置では、ポートランドセメント、コンクリート、石こう、石灰岩、ポゾランなど、さまざまな材料を検査できます。
オリンパスのXRD装置では、セメント製造工程のさまざまな材料を検査できます。
エンジニアは、これらの情報を現場でリアルタイムに使用して、セメントの化学組成やグレードを詳細に把握するほか、工程中に使用する添加剤の分析も可能です。 プラントでは、化学組成や相分析結果をその場で取得でき、保留して再ブレンドが必要な規格外のクリンカー、原材料、添加剤の量を削減できます。
上のディフラクトグラムに示すように、オリンパスTERRA™ IIおよびBTX™ III XRD装置は、セメント・骨材産業の各種の材料相をすばやく同定できます。 これには、採石場のカルシウムレベル、石こう供給材料の硫酸塩含有量、添加剤、工程中に発生する可能性がある不良材料などがあります。 各成分は、オリンパスの革新的なSwiftMin®統合型自動相同定・定量化ソフトウェア、またはXPowder(同梱品)などのスタンドアロン型ソフトウェアパッケージを使用して、リアルタイムで同定および定量化できます。 これらのオプションによって、工程全体で相情報と鉱物分析の定量化がさらにすばやく簡単になります。
TERRA IIポータブルXRD装置を使用して検査を手早く行う技術者 65 66
その他の相同定
コンクリートとセメントの組成のほとんどは、ケイ酸カルシウム、硫酸塩、炭酸塩、それにシリカです。 オリンパスのpXRD装置では、これらの成分を速く簡単に定量化できるほか、製品内で他の相を同定することもできます。 このような相としては、スルホスパーライト(テルネサイトともいう)があります。
スルホスパーライトが高レベルで含まれると、エネルギーコストが増加し、製造効率が低下します。 TERRA IIおよびBTX III pXRD装置は、下に示すようにスルホスパーライトを速く簡単に同定、定量化できます。
ポートランドセメントのXRD分析では、スルホスパーライトが同定、定量化されます。
商用グレードのポートランドセメントに、望ましいケイ酸カルシウム相であるエーライト、ラーナイト、ハトルライトに加えて、かなりの濃度(20%)のスルホスパーライトが含まれています。 このほか、同様の中間相(アルカリ塩化物やアルカリ硫酸塩など)も、製造時にキルンやサイクロン内の温度差によって発生します。
キルンの汚染でこれらのスルホスパーライトリングが発生すると、キルン密封の損傷、エネルギー消費量の増加、キルン内への粉塵混入、安全性の低下など、さまざまな問題を引き起こす恐れがあります。 やがて、このように汚染されたキルンは、費用のかかる予期せぬダウンタイムにつながりかねないため、潜在的な汚染相を早期に識別することが重要です。
ボーグ式
ポートランドセメントのクリンカーに含まれる主要な4つの鉱物(エーライト、ビーライト、アルミン酸塩、フェライト)を速く簡単に計算するには、ボーグ式を使用します。この計算は、酸化ケイ素、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化カルシウムなど、各種酸化物の濃度に基づいています。 ボーグ式を以下に示します。
エーライト(Ca3Si):C3S = 4.0719CaO - 7.6024SiO2 -1.4297Fe2O3-6.7187Al2O3
ビーライト(Ca2Si):C2S = 8.6024SiO2 + 1.0785Fe2O3 + 5.0683Al2O3 - 3.0710CaO
アルミン酸塩(Ca3Al):C3A = 2.6504Al2O3 - 1.6920Fe2O3
フェライト(Ca4AlFe):C4AF = 3.0432Fe2O3
オリンパスのVanta™ポータブルXRF分析計では、これらの組成を30秒以内に定量化できます。 商用ポートランドセメントの試料を使用して、不明な鉱物濃度を装置上で直接すばやく計算できます。
Vanta pXRF分析計では、セメントのクリンカーに含まれる重要な成分をリアルタイムで簡単に検査でき、上述したように外部機器を必要としません。 TERRA IIまたはBTX III pXRD装置と組み合わせて使用すれば、コンクリートおよびセメント分析用の完璧なツールキットになります。
Vanta XRF分析計を使用すると、セメント分析はすぐ簡単です。
Vanta XRF分析計は、セメント製造工程向けの堅牢で信頼性の高い装置です。
ポータブルXRFおよびXRDの詳細
セメント製造工程におけるpXRFとpXRDについて、さらに詳しい情報が必要な場合は、 お近くのオリンパスにデモのセットアップを依頼するか、以下のリソースをご覧ください。
- ビデオ:セメント製造の材料品質管理用ハンドヘルドXRF
- セメント産業インフォグラフィック
- AZoMインタビュー:ハンドヘルドXRFはセメント製造工程をどのように改善できるか
- International Cement Review:XRFおよびXRD分析を手に
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