Evident LogoOlympus Logo
事例・お役立ち資料
アプリケーションノート
リソースに戻る

リン酸塩の鉱化とパスファインダ元素


導入および背景

採鉱や鉱物探査の分野では、野外用携帯型の蛍光X線分析計(FPXRF)と野外用携帯型のX線回折装置(FPXRD)を使用して地球化学調査を行う方法が、野外でリアルタイムに行えるため、急速に確立しつつあります。この方法には、試料を採取するその場で測定結果を知ることができるという大きな利点があります。Mg(原子番号=12)からU(原子番号=92)までの元素について、定量する元素の構成をフレキシブルにカスタマイズできます。そのため、リン酸塩や地球化学のパスファインダ元素を探す探査者や採鉱労働者に、幅広い用途を提供します。

ハンドヘルド蛍光X線分析計DELTAによる試料の測定

リン酸塩と野外用携帯型蛍光X線分析計

経済的に価値のあるリン鉱床には、高濃度のリン酸塩(>15~20% P2O5)の存在が求められるため、DELTAは、鉱床探査とグレード管理の両方の使用において有効です。リンの検出限界(LOD)は、新世代のシリコンドリフト(SDD)検出器を備えた蛍光X線分析計で、約0.05%(500ppm)です。これは試料のマトリックスによって異なります。リンの検出限界は、ほとんどの遷移金属元素の検出限界より高いです。なぜなら、リンはX線感受性がたいへん弱いからです。これは、リンの励起エネルギーが低く、リンの蛍光X線がKα線(2.01KeV)、Kβ線(2.14KeV)と低いためです。 リンの測定は、このように低電圧とフィルタ(ビーム設定)に頼るため、よりよい精度のデータを取得するために、測定時間を長くします(10~20秒ではなく60~120秒)。しかし、新しいシリコンドリフト検出器(SDD)技術の使用により、計数率が飛躍的に向上したため、バックグラウンドが低減し、分解能が向上し、分析時間は非常に短くなり、分析の精度が向上しています。

元素 LOD*
Al ~1.0%
Si ~0.5%
P500ppm
Ca 35ppm
Fe 10ppm
U 2ppm
Th 5ppm

軽元素分析と試料前処理

野外用携帯型蛍光X線分析計では、軽元素(LE)は、一般的に、原子番号(Z)が18(アルゴン)以下の元素で、通常はMg、Al、Si、P、S、Clです。鉄鉱石の鉱床調査では、軽元素の測定、特に、Al、Si、P、S、Ca、が優先されます。鉄鉱石の鉱化においては、しばしば、粗い粒質と結晶質の成分で混成されます。このため、それら軽元素の測定も、試料の不均質さにより大きく影響され、意味のある分析の品質(決断レベル)にするためには、試料を前処理することが必要です。粒度の粗い破片が含まれている可能性があり、試料を200μm以下に粉砕した後蛍光X線分析専用の試料容器(ポリプロピレンフィルム)に入れます。(軽元素測定できないマイラーフィルムは使用しません)。

野外用携帯型蛍光X線分析計の利点

最新世代の蛍光X線分析計は「真の携帯性」を備えることにより、「ミニラボの分析力」を、限定的ですが、野外に持ち出すことを可能にしています。野外用携帯型 蛍光X線分析計が限定的であるのは、下記の点です。卓上型の蛍光X線分析装置に比べて、(1) 検出限界が大きい、(2)精度が低い(+/-値が大きい)、(ただし検出限界より上では、正確さは同等)、(3)測定結果の再現性が劣る。このため、野外用携帯型蛍光X線分析計は、ラボ向け分析装置の代わりになるとは思えません。ラボと、ASX(JORC 規定)やTSX(43-101)で定められる(業界の)報告規定と連携して使用されるべきです。野外用携帯蛍光X線分析計の主な利点は、野外で機動的にリアルタイムに測定し、その場ですぐ地球化学データを空間的に記録できることです。地球化学者は、観察中の表土または岩石の成分元素特性をすぐに仮定でき、野外現場、つまり目的試料のあるその場で、十分な情報に基き決断することができます。探鉱プロジェクトの管理、目的、関連する事項の方向性に対する瞬時の対話式の取り組みが可能になりました。これは、調査期間を著しく短縮する結果をもたらします。試料を掘削しラボへ送付する反復回数を 徹底的に減らし、「通常の」長さの往復時間や遅れ時間を減らせるからです。野外用携帯型 蛍光X線分析計は、調査前のスクリーニングツールであると考えられます。それは、ベストで最適な試料を探し出し、採取し、ラボに提出できるからです。その上、試料採取計画を野外でリアルタイムに見直しでき、試料をきめ細かく採取でき、空間的な分解能を向上できます。野外現場で調査できるため、効率が向上し、調査期間を短縮でき、企業は、野外での時間を有効に使用でき、調査予算を最大に活用することができます。

データ結果のグラフ
リン鉱石に含まれるリン酸塩、ケイ素、カルシウムの分析性能(DELTA Miningモード、大気下、90秒で測定)

DELTAハンドヘルド蛍光X線分析計で土壌を測定

検出限界:影響を与える要因

分析の検出限界(LOD)の測定は、さまざまな要因に依存しており、その多くは分析装置に直接関係していません。検出限界に影響を与えるものには、以下があります(括弧内に影響因子を記載)。

  • 励起エネルギーまたはX線源(測定器)。注記:最大管電圧(keV)を得ることがすべてではありません。X線管の管電圧と管電流の両方を微調整する過程に依存しています。計数率が最大になるように微調整します。その結果、測定精度が最大になります。(装置)
  • 成分元素の原子番号とそのX線感受性(試料)
  • 成分元素の濃度(試料)
  • 相対密度とマトリックス組成(試料)
  • 試料の大きさ、粒度および表面形状(試料およびユーザー)
  • 測定時間の長さ(ユーザー)
  • 装置キャリブレーションの品質、検量線作成用QC試料(ユーザー、装置)

「このように、蛍光X線分析計のLOD測定に関しては、試料が最大の影響因子です」

Olympus IMS

この用途に使用される製品
シリコンドリフト検出器(SDD)と4WのX線管を統合したDELTA Professionalは、分析速度、検出限界、および元素範囲において優れた性能を発揮します。 合金および鉱石のマグネシウム(Mg)以上を分析します。 DELTA Professionalは、オリンパスのハンドヘルド蛍光X線分析計においてコストパフォーマンスがより高いソリューションです。
鉱山/地質用ハンドヘルド蛍光X線分析計DELTAは、すぐに分析結果を取得できるため、鉱物探査、鉱石の品位判定とプロセス管理、環境持続性からなる工程全体の次のステップを見極めるのに有効です。 金属、鉱物、汚染物質を現場で検出。 GPS-GIS-XRFでの即座の金属マッピングにより、時間を短縮し、コストを削減。
このページはお住まいの地域ではご覧いただくことはできません。
Let us know what you're looking for by filling out the form below.
このページはお住まいの地域ではご覧いただくことはできません。