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フェーズドアレイによるパイプラインの領域識別検査


Normal Incidence Shear Wave Transducers

要約

陸上または海上を通る石油輸送パイプの接続法として円周溶接が用いられますが、安全な運用を期すためには建設中に検査を実施する必要があります。検査によって建設工事に遅延が生ずるのを防ぐため、これに使用する検査法は迅速で繰り返し性に優れると同時に、適用される法律の要件を満たす必要があります。この要求を満たすため、フェーズドアレイ超音波探傷の適用頻度が増大しています。これを支えるのが、陸上と海上における完全自動領域識別システムの配備です。

はじめに

新たに建設したパイプラインの体積検査を実施する方法として最も一般的なのは、放射線検査と超音波検査です。検査現場周辺の作業員に害を及ぼす恐れが無い、検査結果がその場で得られる、特に肉厚方向について欠陥サイズを正確に評価できる、などの理由から、放射線検査と比較し多くの場合、超音波検査が好まれています。しかし、パイプラインの溶接継ぎ手は非常に狭いベベル角を持つことが多いため、もしベベル面に融合不良があると、プローブが検出でない方向へ音波を反射してしまうという問題があります。これが起こると、従来方式のパルスエコー検査では欠陥を検出できません。

超音波/フェーズドアレイの代表的な利点:放射線検査との比較:

  • 高い検出確率(POD) - 特に割れや融合不良
  • 正確なきずの高さ評価と少ない修理。Engineers Critical Assessment(工学的な欠陥評価手法)を使用
  • 放射線使用による危険がなく、使用認可の取得も不要
  • 遮蔽が必要な領域が無く、AUTの周りでそのまま作業続行可能
  • 化学物質・廃棄物質が発生しない
  • リアルタイム解析。その場で評価して溶接作業者へフィードバック可能
  • 電子形式でセットアップ、検査レポート発行

ソリューション

PipeWIZARDは、パイプラインの円周溶接検査を目的とするフェーズドアレイをベースとした完全自動検査システムです。標準的にはフェーズドアレイとTOFDプローブから構成され、これらの溶接部の全体積検査を迅速に実行します。主要コンポーネントとしてデータ収集ユニット、モーターコントローラー、コンピューター、スキャナーが含まれます。シールドされた頑丈な計装が施されますから、パイプラインを敷設する苛酷な条件にも十分に耐えることができます。

PipeWIZARD acquisition unit and motor controller box with computer and Scanner on bandPipeWIZARD acquisition unit and motor controller box with computer and Scanner on band

PipeWIZARDのデータ収集ユニットとモーターコントローラーボックス(コンピューターとスキャナーを装着)

領域識別法は溶接継ぎ手を小さな領域(多くの場合1~3mm)に分割し、それぞれの領域に焦点を合わせてピッチキャッチ法を適用して1本の超音波ビームをあてます。これまでは、ベベル検査のために多数の従来型探触子から構成される複雑なマルチプローブシステムが必要でしたが、フェーズドアレイ法では振動素子を複数のグループに分けて動作させるので、このような複雑なシステム無しでもベベルを適正入射角で検査できます。検査が要求する内容によっては、TOFDとフェーズドアレイセクタースキャンを横断移動プローブに付け加えて使用することも可能です。継ぎ手のデザインをあらかじめソフトウェアに入力しておけば、PipeWIZARDソフトウェアが個々のビーム位置における発信、受信、その他の特性値を計算してくれます。これを適当な試験片に適用してパラメーターを調整することができます。メインとなるデータ出力はストリップチャートです。1つのビームまたはゾーンごとに1つのストリップチャートが作成されます。検出された異常を合否判定レベルに照らして素早く評価できるように、色分けや、その他のツールが用意されています。パイプの詳細や検査パラメーターにも依存しますが、スキャン速度は毎秒100mmにも達することがあります。欠陥部の長さとともに、その高さを正確に計算することは破壊力学やエンジニアの臨界評価基準を明らかにするのに役立ちます。このような情報を別な技術と併用することによって、検査員の技量レベルに左右される欠陥発生率を低下させることができます。

Illustration of Zone Discrimination Technique showing one beam
領域識別法の説明図(1つのビームを示す)

After inputting joint parameters the software predicts all beam pathsAfter inputting joint parameters the software predicts all beam paths

継ぎ手パラメーターを入力すると、ソフトウェアがすべてのビーム経路を予測する

Strip charts, color coding and other analyis tools allow quick assesment and reporting
ストリップチャート、データの色分け、その他の解析ツールを使用して迅速な評価とレポート作成が可能

PipeWIZARDの要点

  • 高信頼性、コンパクト、モジュール構造
  • 直観的に理解できるインターフェイスを備えた高度で分かり易いソフトウェア(素早いセットアップ、迅速・正確な解析、トレーニングが簡単)
  • 標準的なストリップチャートとTOFDに加えて、セクタースキャンとE-スキャンを提供
  • 精度の高い欠陥高さ判別:0.5~1.0mm(20~40mil)
  • 特殊な構成にも対応する高度な機能(特殊なパイプ材料、非常に肉厚の厚いパイプ、肉厚が変動するパイプなど)
  • AUT検査サイクル時間の短縮が高い生産速度に直結
  • PipeWIZARDフェーズドアレイシステムはすでに世界中の主要なパイプラインプロジェクトから使用認定を受けており、多くの企業から予備認定を受けています
  • PipeWIZARDは陸上と海上両方の検査に適した規格準拠手法です
  • PipeWIZARDは他のプロセスや作業員のそばで問題なく運用できるシステムであり、放射線や化学薬品の危険性がありません

結論

PipeWIZARD領域識別システムを使用すれば、陸上/海上敷設パイプラインの円周溶接を迅速かつ正確に体積検査することができます。フェーズドアレイ方式を採用したことによって従来のマルチプローブシステムに付きものであった煩雑な機械動作系が不要となり、放射線検査に対する優位性(安全性、作業員のそばで使用可能、正確な肉厚方向の高さサイズ判別など)がさらに明らかになりました。

Olympus IMS

この用途に使用される製品
PipeWIZARDは、フェーズドアレイ法と従来のUT法を使用した、パイプ円周溶接部の自動検査(AUT)システムです。陸上や海上における厳しい環境下での現場で溶接部を次々と検査できるよう特別に設計されています。
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