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火力発電プラント配管材料の金属組織の高解像観察


レーザー顕微鏡による微細形状測定

火力発電プラント
火力発電プラント

アプリケーション

火力発電において、材料技術の進歩が発電効率を向上させてきました。火力発電プラントは高圧・高温の蒸気を作りその力でタービンを回していますが、蒸気が高温・高圧なほどそのパワーは上がります。中でも超々臨界圧(USC:Ultra Super Critical)は蒸気タービンの入口が600℃近くまで上がるプラントで、従来のプラントに比べ高い発電効率を発揮します。それゆえUSCの配管部材には高温・高圧の過酷な環境下に耐える高クロム鋼(9Cr鋼等)が用いられていますが、時に配管の溶接部付近より蒸気が漏れる不具合が発生しており調査を要します。実機プラントにおける検査は非破壊検査が望ましく、超音波フェーズドアレイで配管内部の欠陥を検査するのが一般的ですが、外表面からある一定の領域は不感帯であり超音波の減衰により欠陥検出が難しいという課題もあります。最近では、溶接部付近で損傷の進行に伴いボイド(気泡)の形成や、微細な金属組織サブグレイン(亜結晶粒)の成長・粗大化が外表面部・内部共に同様の挙動で進行していることがわかってきています。そこで外表面部の微細金属組織を透明フィルムに転写させたレプリカを光学顕微鏡で観察するというSUMP法とも呼ばれる非破壊検査も試みられていますが、φ数um程度の小さな粒界になると倍率が足らない、また試料が平らではないので全面にピントが合わせられないという課題がありました。

オリンパスのソリューション

オリンパスの3D測定レーザー顕微鏡LEXTは、ピント位置をずらしながら焦点の合った反射光だけを捉えて拡張焦点画像構築を行うことによって、ピンボケによる不明瞭な像を排除できます。また、一般的に光学顕微鏡は観察波長と対物レンズのN.A.によって分解能が決まるので、LEXTでは405nmの波長を採用しています。これを用いることで標準的な光学顕微鏡と比べて、格段に高い分解能が得られます。さらにコンフォーカル光学系を用いることで、20%程度も分解能が向上します。加えて、高感度のフォトマルチプライヤの搭載により表面からの反射が弱い試料でも確実に反射を捉えることができます。

これらの機能により透明フィルムレプリカのようにうねりがあり、かつ低反射な試料でも全面にピントの合ったクリアな画像が得られます。また、20・50・100倍は405nmのレーザー性能を最大限に活かす高N.A.の専用対物レンズで、光学ズームとの組み合わせにより最高17000倍までの高い観察倍率が得られるので、微小な金属粒界も高解像でクリアな画像が取得できます。こうして全面にピントの合った、高解像の画像は溶接部付近のボイドの有無やサブグレインの粒径の変化を明瞭に観察するのに有効です。

< サンプルご提供 >
電源開発株式会社

< 参考文献 >
* 電源開発株式会社 難波 一夫 『技術解説 超々臨界圧火力発電プラント用材料とその課題』IPEJ Journal Vol.26 No.6 
* 電源開発株式会社 難波 一夫 『高クロム鋼溶接部のサブグレインサイズ測定による非破壊的クリープ損傷評価法』 火原子力発電 Vol.66 No.8 

画像

標準的な顕微鏡画像との比較

(1) 標準的な顕微鏡画像 (2) 拡張焦点機能によるピンボケ像の排除 (3) 405nm光源とコンフォーカル光学系の効果

標準的な顕微鏡画像

拡張焦点機能によるピンボケ像の排除

405nm光源とコンフォーカル光学系の効果

Olympus IMS

この用途に使用される製品

LEXT OLS5100は、非接触・非破壊で微細な3D形状の観察・測定が可能なレーザー顕微鏡です。 サブミクロンオーダーの微細な形状測定に優れ、スタートボタンを押すだけでオペレーターの習熟度に左右されない測定結果を得ることができます。 また、新開発の『実験トータルアシスト』により、実験計画作成からデータ取得・解析、分析・データ出力までを一括管理することで、人為的なミスを低減し、手戻りを防ぎます。ISO/IEC 17025認定校正に対応しています。

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