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歯の侵食の解析における新手法の評価


歯の侵食の解析における新手法の評価歯の侵食の解析における新手法の評価歯の侵食の解析における新手法の評価

要旨

歯の侵食とは、脱灰が進むことにより歯質が損傷を受けることをいいます。全ての年齢層において発生率が高いため、広く研究されています。侵食による損傷部位の解析には、歯の表面の粗さ測定、形状測定、形態学的解析などのさまざまな技法が使用されています。本調査における検証により、歯の侵食過程をレーザー顕微鏡で解析できることが判明しました。

歯の研究は世界中で大規模に行われており、調査対象は生体内外から口腔内までに及びます。侵食の原因はさまざまですが、脱灰が進んで歯の硬組織が損傷を受けるという点で全てにおいて共通しており、見た目が著しく損なわれたり、深刻な機能障害が引き起こされます(Benages et al., 2006)。

侵食による損傷部位を解析したり、歯の硬組織の損傷を定量化するにあたって、さまざまな技法が用いられています。走査電子顕微鏡(SEM)で取得した画像を使って歯の表面の形態学的解析を行う場合、一般的には粗さ測定と形状測定による解析が行われています(Attin, 2006)。本調査は、歯の侵食解析における新手法を評価することを目的に行われました。

本調査の最終的な目的は、脱灰が起きてから深刻な損傷が生じるまでの侵食過程を理解し、予防的治療法を発展させることです。歯の侵食解析を行うには、歯の表面に起こり得る変化を正確に測定できる測定機が必要です。レーザー顕微鏡で表面解析を行い、正確なデータを素早く簡単に取得することを前提とした結果、侵食された歯の断片の解析には、オリンパスの3D測定レーザー顕微鏡LEXT OLS4000が適していました。

粗さ測定と形状測定

表面形状測定機または触針式表面粗さ測定機を使用する場合、直径2~20μmのスタイラス(ダイヤモンドまたは金属の触針)でサンプルの表面をなぞることで、歯の硬組織の損傷を測定します(Hughes et al., 2002; Hooper et al., 2004)。しかしこの方法では、スタイラスの先端が大きすぎるためにエナメル質の溶解を正確に検出できない場合があります。エナメル質が酸によって損傷を受けると、表面には約0.4 μmのくぼみができます(Hooper et al., 2003)。スタイラスを使用すると、分解能が不十分であるだけでなく、スタイラスが接する際に表面に数mNの負荷がかかるため、エナメル質の最も外側の脱灰した層を損傷する原因となります(Attin, 2006)。

オリンパスのLEXT OLS4000などのレーザー顕微鏡を使用すると、レーザー光は0.4μmのスポット径となるため(対物レンズ100倍の場合)、スタイラスより高い分解能での測定が可能となります。さらに、サンプル表面と接触しないため、表面に損傷を与えることはありません(図1)。

図1:塩酸により侵食されたエナメル質の形状測定解析 左側:対照領域 右側:侵食された領域
図1:塩酸により侵食されたエナメル質の形状測定解析
左側:対照領域 右側:侵食された領域

OLS4000を使用すると、使用するカットオフ値(測定波長を限定するためのフィルター)をコントロールでき、さらに、触針式形状測定機と互換性のある測定結果を得ることができます。これにより、この2つの装置の違いを比較することができます。

表面の形態学的解析

歯の侵食で起きる表面の変化は、走査型電子顕微鏡(SEM)を使って観察できますが、アルコール脱水や、金属・炭素の蒸着といったサンプルの前処理が必要で、さらにサンプルを真空下に置く必要があるため、サンプルが損なわれてしまいます。真空状態にするとエナメル質に亀裂が生じる可能性があり、表面の解析に影響する場合があります。このため、SEMで解析したサンプルの中には、その後の調査には使用できなくなってしまうものもありました。

OLS4000では、高解像度の3D画像を作成することができ、サンプルの前処理や真空状態は必要ありません。従って、取得した画像を別の解析や実験に使用することができます。取得した画像により、エナメル小柱、象牙質細管、侵食領域などの表面変化を観察できます(順に図2、3、4)。

図2:塩酸によるエナメル小柱の露出
図2:塩酸によるエナメル小柱の露出

図3a図3b
図3aと3b:塩酸で露出した象牙質 3aの左側:侵食された象牙質 3aの右側:対照領域
3b:象牙質細管の露出

図4a図4b
図4aと4b:塩酸により侵食されたエナメル質。3D画像では段差が生じていることがわかります。

歯の侵食の体積解析

歯の侵食とは、脱灰が進むことにより歯質が損傷を受けることをいいます。歯の侵食を評価する方法は、いくつか考えられます。例えば、侵食性のある化学物質に溶け出たミネラルに対して化学分析を行い、歯の硬組織のアパタイト結晶から溶け出たカルシウムまたはリン酸塩の量を測定することにより、歯のエナメル質の溶解量を算出することができます。

OLS4000を使用すると、取り込んだ画像から歯質の損失量を定量化することができます。この解析を実行するには、解析される表面が平坦で、リファレンス領域(対照領域)がある必要があります。この領域は、侵食性の化学物質にさらされた領域の体積損失を計算する基となります。体積損失は面積1μm2当たりの体積(μm3)の比率として計算され、歯の表面に対する体積損失を定量的に見ることができます(図5)。

オリンパス3D測定レーザー顕微鏡LEXT OLS4000
オリンパス3D測定レーザー顕微鏡LEXT OLS4000

図5:対照領域に基づく侵食された領域の体積損失解析
図5:対照領域に基づく侵食された領域の体積損失解析

結論

本調査で得られたデータにより、3D測定レーザー顕微鏡LEXT OLS4000を使用して、粗さ測定や形状測定による解析や高画質の3D画像の取り込みを素早く正確に行えることが判明しました。また、歯質の体積損失の解析も可能でした。解析を行うにあたりサンプルの前処理は不要で、サンプルを無駄にすることもありません。OLS4000は歯科分野の臨床研究にも使用できることが確認できました。OLS4000は、研究やデータ収集、そして多様な角度からの解析を支援するさまざまな測定データを提供します。

LEXTと一緒に
Juliana Jendiroba Faraoni-Romano, PhD

Juliana dos Reis Derceli, MSc

Regina Guenka Palma-Dibb, Prof, PhD


謝辞

本調査は、FAPESP(サンパウロ州研究活動支援財団)の支援の下に行われました(Process 2010/19531-8, 2011/12901-7)。OLS4000の使用にご協力いただいたArotec S/A社に感謝いたします。

参考資料

  • Benages A, Muñoz JV, Sanchiz V, Mora V, Mínguez M: Dental erosion as extraesophageal manifestation of gastro-esophageal reflux. Inter J Gastroenterol Hepatol 2006; 55:1050-1051.
  • Hooper S, West NX, Pickles MJ, Joiner A, Newcombe RG, Addy M: Investigation of erosion and abrasion on enamel and dentine: a model in situ using toothpastes of different abrasivity. J Clin Periodontol 2003; 30:802–808.
  • Hooper S, West NX, Sharif N, Smith S, North M, De’Ath J, Parker DM, Roedig-Penman A, Addy M: A comparison of enamel erosion by a new sports drink compared to two proprietary products: a controlled, crossover study in situ. J Dent 2004; 32:541–545.
  • Hughes JA, Jandt KD, Baker N, Parker D, Newcombe RG, Eisenburger M, Addy M: Further modification to soft drinks to minimize erosion. A study in situ. Caries Res 2002; 36:70–74.
  • ten Cate JAM, Imfeld T: Dental erosion, summary. Eur J Oral Sci 1996; 104:241-244.
Olympus IMS
この用途に使用される製品

LEXT OLS5000は、非接触・非破壊で微細な3D形状の観察・測定が可能なレーザー顕微鏡です。 サブミクロンオーダーの微細な形状測定に優れ、スタートボタンを押すだけでオペレーターの習熟度に左右されない測定結果を得ることができます。 従来比4倍のデータ取得速度を実現し、専用長作動距離レンズや拡張フレームにより従来諦めていたサンプルも測定できるようになりました。
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