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標準的な超音波リングダウンによる接合部の完全性検査


接合部の完全性のためのリングダウン検査

用途

金属またはセラミックなどの高インピーダンス材料の外層と、プラスチック、複合材料、ゴムなどの低インピーダンス材料の内層の間に接合があるかないかを超音波試験で識別します。 この技法は多くの金属間接着部にも適用されます。

背景

音響インピーダンス(密度に音速を掛けたもの)が類似の材料に相互に接合されている、例えば、金属が金属に溶接またはロウ付けされている、あるいはプラスチックがプラスチックに融着されている場合、接合の有無は、通常、境界からの最初の反射の振幅から判定できます。 一般に、接合状態と非接合状態では反射信号の振幅に大きな違いがあります。 ただし、金属とポリマー間の接合の場合のように、2つの材料の音響インピーダンスが大きく異なっていれば、その音響インピーダンスの不一致により、当該材料が機械的に接合されていても、境界から有意な反射があります。 接合状態と非接合状態間でのエコー振幅の変化は、小さくて検知しにくい可能性があり、特に探触子の接触状態が均一でない状況で見られます。 これと同じ状況は、金属同士の接合にエポキシなどの低インピーダンス接着剤が使用されているケースでよく見られます。 接着剤層が非常に薄い場合を除いて、これは良好な接合からでも有意な反射で低インピーダンス接合ラインを構成します。

低インピーダンス材料が外側にある場合、あるいは部品形状にり接合部の低インピーダンス側との結合が許容される場合、推奨手順は位相変化試験になります。 これに関しては、オリンパスのアプリケーションノート「位相変化による接着部検査」に説明があります。

接合部の高インピーダンス側から試験を実行する必要がある場合は、このアプリケーションノートで説明するリングダウン検査が多くのケースで最良の方法になります。 この検査では、境界からの一連の多重反射を観察して、連続エコーの振幅、つまりリングダウンエンベロープが接合状態と非接合状態の間で変化する率の違いを探します。 音波は金属または高インピーダンス材料で反響するため、振幅変化は跳ね返りのたびに増大します。 したがって、例えば、最初のエコーにおいて接合状態と非接合状態の間での分かりにくい5 %の振幅低下は、5番目のエコーでは25 %の低下になり、10番目のエコーでは50 %の低下になります。 単一エコーでは変化が小さくても、一連の多重エコーにわたって変化がまとまると、はるかに大きくなり判別しやすくなります。 一般的な接合部において、接合状態と非接合状態はそれぞれが特有のリングダウンパターンを生成します。

接合部の完全性のためのリングダウン検査

機器

この試験は、EPOCH® 650EPOCH 6LTの各探傷器など、標準の超音波探傷器を用いて実行できます。 超音波パルサー / レシーバーを使用することも可能です。 探触子は、通常は周波数範囲が2.25 MHz~20 MHzの一般の遅延材付き探触子(V207-RB、V206-RB、V202-RM、V208-RMなど)です。 特定の試験には、材料の厚さ、形状、および音響特性に基づいて特定の探触子を選択します。

手順

良好な接合の基準サンプルからの最初の底面エコーが画面の80 %の高さで表示されるようにゲイン設定し、一連の底面エコーが十分に表示されるように画面の範囲を設定します。 下の最初の波形では、最初のピークは遅延材との境界エコーであり、以降のピークはプラスチックライナーに接合された0.1 インチ(2.5 mm)の鋼からの多重底面エコーです。 金属が底面材に接合されているため、鋼の裏側に接合されたポリマーは機械的な減衰作用を生み、エコーは比較的速やかに減少します。 既知の良好な接合からのリングダウンエンベロープを示す曲線を描くためには、DAC(距離振幅補償)機能を使用するのが便利です。

接合金属からの低速リングダウンパターン。DAC曲線を基準として設定。

接合部の完全性のためのリングダウン検査

これら2つの材料が接合されていない場合、減衰効果はなくなり、ピークが大きくなって、下図に見られるように基準曲線より高くなります。

非接合金属からのリングダウンパターン。ピークは基準曲線より高くなります。

接合部の完全性のためのリングダウン検査

多重エコーの振幅が画面右に向かって急速に減少していることに注意して下さい。 接合状態と非接合状態でのリングダウンパターンの正確な違いは、2つの材料の相対的な音響インピーダンスと減衰係数によって決まりますが、原理上、この試験は、高インピーダンス材料が低インピーダンス材料に接合されているすべての状況に対して機能します。 標準試験片で観察された2つの特性パターンを記録して両者を検査対象物からの波形と比較することにより、検査対象物における接合の有無を判定できます。

このタイプの試験では、接合の有無のみを判定し、接合の強度は判定しません。 また、材料は音響的に接着剤または類似の接合剤により接合されている必要があります。 圧力だけで十分な音響接合が得られることは稀です。

Olympus IMS

この用途に使用される製品
ポータブル超音波探傷器EPOCH 6LTは片手で操作できるよう設計されており、ロープアクセスと高度な携帯性が求められる用途において優れた性能を発揮します。 人間工学に基づいた設計に加えて軽量なこの装置は、手にしっかりフィットし、ロープアクセス用途で脚に装着することもできます。
超音波探触子は、探傷、厚さ測定、材料調査、医療診断など、多岐にわたる用途に使用されます。 さまざまな形状や振動子径、周波数、コネクタータイプを持つ5,000種類以上の超音波探触子があります。
EPOCH 650は、さらに高性能な探傷機能を備え、幅広い用途に対応した従来型超音波探傷器です。 人気のEPOCH 600探傷器の後継機で、さらに機能を追加し、堅牢設計でより操作しやすくなりました。
渦流アレイ探傷を行います。 検査の構成では、ブリッジあるいは送受信モードで32のセンサーコイル(外部マルチプレクサーの使用で最大64センサーコイル)に対応します。 使用周波数は20 Hz~6 MHzで、同時に多重周波数を使用するオプションもあります。
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