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非破壊検査ソリューション

渦流プローブの選択方法

正しい渦流プローブを選択することは、検査の成功に非常に重要です。 これらのページでは、正しい選択をするために役立つ情報を提供します。

アブソリュートプローブ(シングルコイルプローブ)

渦流装置の最も初期の形態です。特定の値の周波数になるように巻かれたシングルコイルプローブを使用します。 渦流装置における以降の新しいモデルの多くでは、ユーザーに人気のオプションとしてこの回路機構がそのまま使用されていると同時に、より高度な機能も組み込まれています。 プローブを使用する際には、平衡コイルを併用しなければなりません。平衡コイルは渦流装置内で設定できます。通常は、プローブの筐体、ケーブルコネクター、または外付けアダプター内にあります(図1を 参照)。

プローブの筐体の図

図1

プローブのインダクタンス値が平衡コイルのインダクタンス値に十分に近い値でない場合には、問題が発生することがあり、装置が正しく平衡化されなくなります。 結果として、性能が低い(ノイズが多い、感度が低い)、あるいはまったく応答が得られない(信号が飽和)状態になります。

ブリッジ型プローブ

この構成では、プローブコイルが電気的「ブリッジ」内にあります(図2を 参照)。 通常はブリッジの平衡状態が保たれますが、平衡状態に何らかの変化が生じると、変化が信号として表示されます。 この構成では、渦電流の生成と、欠陥(または、他の何らかの変動要因)により引き起こされるインピーダンス変化の検出が、同じコイルによって行われます。 ほぼすべての装置が、このタイプのコイル構成で動作可能です。

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図2

反射型プローブ

これらのプローブは、送信-受信、またはドライバーピックアップとも呼ばれます。 この構成では、装置の発振回路(ドライバー)に接続されたコイルによって渦電流が生成されます。 プローブに戻ってくる信号は、別のコイル(ピックアップと呼びます)によって検出されます(図 3、図 4を参照)。 新しいインピーダンス平面表示タイプの装置すべてと、旧型モデルの多くが、両方のモード(ブリッジと反射)で動作可能です。 不明な点がある場合は、オリンパスまでお問い合わせください。

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図3

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図4

ブリッジ方式と反射方式の選択

各検査で最適なプローブを選択したいと思っている方からは、ブリッジ方式と反射方式のどちらが良いかとよく尋ねられます。 答えは「状況による」です。 両方のシステムについて見ていきます。

ゲイン:反射型プローブの方が高いゲインが得られ、特に、特定の周波数に「チューニング」されているとゲインが高くなります。しかし、通常の差異は平均として6 dB程度です。 ゲイン上昇によって信号が倍増することは事実ですが、装置自体でもこの程度のゲイン上昇が容易に得られることを考えると、それほど重要ではありません。 しかし、クリティカルな用途では、この程度のゲイン上昇も非常に貴重となります。

周波数レンジ:反射型プローブでは、ドライバーとピックアップコイルを平衡化させる必要がありません。 より広い周波数レンジを使用できます。 ドライバーが渦流を生成する限り、ピックアップがそれらを検出して、いくつかの信号が表示されます。 周波数によっては、表示される情報はそれほど有用ではない場合がありますが、プローブはそれでも動作し続けます。

従来の装置では、ブリッジ型プローブによって、ある限定された周波数範囲が与えられていました。ブリッジの他辺(XとRのコントロール)を使用して、ブリッジ回路を平衡化させる必要がありました。 現代型の装置では、固定精密抵抗器でブリッジを構成するか、固定変圧器をブリッジ内に含めるのが普通です。 この方式で検出された信号は「機械的」な調整操作を経ることなく電子的に処理されるため、より広い周波数レンジにわたって平衡を達成することができます。

ドリフト:プローブがドリフトを起こす原因の大部分は、コイルの温度変化です。 周囲温度の変化と発振回路電流による発熱のいずれか、

または両方が原因となる場合があります。 ドリフトを小さくするには、線径や鉄心の選択など、最適化が可能な設計パラメーターがいくつかあります。しかし、ドリフトの影響をさらに防ぐには、通常、反射型プローブを選択するのが良い方法です。

反射型プローブでは、ドライバー電流はピックアップコイルを流れません。実際、試料から返される磁界は、通常ははるかに小さいため、ピックアップを流れる電流もそれに応じて減少します。 ほとんどのプローブタイプ(ペンシル、スポット、リング、ボルト穴など) は、ブリッジ型と反射型のどちらとしても作成できます。 ただし、反射型プローブの方が、ほとんどの場合製造が難しいため、価格も高くなります。

アブソリュート型プローブ、ブリッジ型プローブ、ディファレンシャル型プローブ

いくつかの混同が見られます。 多くのユーザーは、表示される信号が8の字を描いて上下に動くプローブを「ディファレンシャル」と呼んでいます。 この動きは、2つのコイルが交互に欠陥を検知することで起こります。 両方の検知コイルがプローブ表面上にあるとき、両方の検知コイルでリフトオフを補償し、結果としてラインは表示されません(図5 を参照)。

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図5

これに対して、1つの検知コイルから形成されるのがアブソリュート表示またはブリッジ表示(図1から 図4を参照)であり、 水平に近い1本のリフトオフラインが上方移動します。 ブリッジ回路などでコイルが差動接続されているプローブを「ディファレンシャル」と呼んでいる方もいます。 このような定義上の問題は、反射型システムでも、2つのピックアップを使用するシステム(大部分のスキャナー駆動ボルト穴プローブなど)と同じように、プローブを差動接続できるために起こります。 このケースでは、相互に隣接した2つのピックアップコイルが、ドライバーコイル内に収められています(図 6を参照)。

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図6

このような混同を解消する最良の方法は、プローブの形式を、アブソリュート、ブリッジ、反射、ブリッジ-ディファレンシャル、反射-ディファレンシャルのように、必要に応じて指定することです。 表示される信号の形態に応じて区別する方が理にかなっています。本当に重要なのは表示される波形であり、コイルがどのように内部的に接続されているのかを問題にするユーザーはそれほど多くはないためです。

遮蔽付きプローブと遮蔽なしのプローブ

通常、プローブは遮蔽付きと遮蔽なしの両バージョンが提供されていますが、

遮蔽付きタイプの需要が高くなってきています。 遮蔽を施すことによって、コイルが生成する磁界をプローブの物理的サイズにまで制限することができます。 遮蔽はさまざまな材料で作成できますが、最も一般的なものは、フェライト(酸化鉄セラミックなど)、ミューメタル、軟鋼です。 フェライトが最良の遮蔽効果を発揮します。磁界が通りやすく、導電率が小さい特性を持つためです。 これは、遮蔽自体による渦流損失がほとんど起こらないことを意味します。 軟鋼は、損失がより大きくなりますが、適当なサイズや形状のフェライトが入手できない場合に、加工が容易なことからスポット式プローブやリングプローブ用として広く用いられています。 ミューメタルは、薄いシート状で利用可能であることから、ペンシル型プローブに使用されることがあります。ただし、効果はフェライトよりも劣ります。

遮蔽には、いくつもの利点があります。その第一として、試験体の形状が変化する部位(たとえばエッジ)にプローブを移動/近接させても誤った指示値を示しません。次に、鉄のファスナーヘッドにプローブが触れたとしてもほとんど干渉を起こしません。また、小さな領域に強い磁界が集中するため、より小さな欠陥の検出が可能になります。

その一方、遮蔽を施さないプローブは磁界が大きくなるため、より深い浸透力を得ることができます。 リフトオフの許容度も若干大きくなります。 鉄鋼材(鋼)の表面割れを、特に指示計器で検査する場合は、遮蔽されていないプローブの使用が推奨されます。 高感度面積が小さくなることで、通常のスキャン速度では指示計器の応答が遅くなり、遮蔽されたプローブからの信号を表示できなくなるためです。

アダプター

装置で使用しているものとは異なるタイプのコネクターを使用してプローブを接続する際は、アダプターが必要となります。 アダプターは、必要に応じて入力と出力を接続するために結合/配線された2つの異なるコネクターからなります。 通常、アダプターは短い本体内に収まっており、装置の入力部に配置できます。 場合によっては、「ケーブルアダプター」を使用することもできます。これは、プローブ本体にあるコネクターに接続するためのものです。 装置の配線方法によっては、1個のアダプターでブリッジ型と反射型のプローブの両方に対応できることもあります。 それ以外の場合では、2個の別のアダプター、または1個のスイッチ切換式アダプターが必要です。

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