Inspection & Measurement Systems

用途/事例

アプリケーションノート

EMATトランスデューサによる蒸気ボイラ管の肉厚測定

推奨される探傷器:
Model 38DL PLUS 超音波厚さ計
Epoch XTEpoch LTCEpoch 1000EPOCH 600 探傷器

背景: 蒸気ボイラー内などの極めて高い温度(摂氏800度または華氏1500度を超える)は、マグネタイトと呼ばれる特定のタイプの硬くて脆い鋳鉄の酸化物を鉄製のボイラー管の内外の表面に発生させる原因となります。管の外側のこの酸化層の存在は、通常の二振動子探触子を使用した超音波壁厚さ測定に干渉します。その理由は、適切な音の接続を妨げる極めて粗い表面を有することと、酸化層の厚さが鉄の厚さに加えられることです。しかし、その名の示す通りにマグネタイトは磁性体であり、オリンパスNDT E110-SB等の磁歪性のEMAT(Electomagnetic Acoustic Transducer)(電磁音響トランスデューサー)を使用することが可能です。EMATは、従来型の二振動子探触子に対して次のようないくつかの利点があります: 測定のために酸化スケールを取り除く必要がない、スケールの厚さが壁の厚さに足されることがない、測定は極めて迅速で液体カップラントが必要ない。磁歪性EMATの主たる制限は、スケールが存在し、ボイラー管の外側に付着している際にのみ作動することです。さらに測定可能な壁の厚さと測定精度は、従来多くの複式が達成するものにははるかに及ばず、EMATは内部の小型のピットには比較的感度が低いです。これらの理由によりEMATは多くの場合、初期的な壁の厚さの調査に使用され、その一方で複式は懸案の範囲をより密着して調べるために使用されます。

動作原理: 2種類のEMATが、NDT業界で使用されています。1つはLorentz EMATとして知られ、それは酸化スケールの存在は必要としませんが、極めて高い印加電圧が必要となります。E110-SB等の磁歪性EMATはスケールが必要ですが、現場用ポータブル超音波厚さ計や探傷器で一般的なレベルのはるかに低い電圧で作動します。図1に示すように、強力な永久磁石と探傷器からの励起パルスで駆動されると電磁石として作動するコイルで構成されます。図2に示すように永久磁石は、スケールの表面に垂直な磁場(下図内のB)を発生させ、一方で電磁石で発生する動磁場(B d)によってコイルにパルスが加わるのと共にスケールが内外方向に引かれます。この動きによってスケール内に通常入射せん断波が発生し、それは次に鉄に伝播します。本質的に、スケールは音波パルスを発生させる能動型探触子の振動子として機能します。音波パルスの周波数は、酸化の厚さが変化すると変動し、酸化が薄ければ増加し、厚くなれば低下します。一般的に薄いスケールの堆積では周波数は約5MHzとなります。このプロセスは、反射せん断波エコーがスケールを振動させると逆に作用してコイルに電圧を発生させます。


図1 --一般的なEMATの断面


図2 -- 音波発生方法

スケール自体が探触子の振動子であるため、スケールの粗さは接続上の問題にはならず、スケールが厚さ測定に加えられることはありません。EMATはせん断波を発生するので、探傷器は一般的な炭素鋼の約0.1280in/uSまたは3,240m/Sのせん断波速度に対して校正されている必要があります。E110-SB EMATトランスデューサーによる一般的な測定精度は+/- 0.010インチまたは0.25mmで、それは材質の特性により、0.080インチまたは2.0mmの測定可能な最小の厚さを有します。

セットアップと測定手順:パーツ内のEMAT用途における超音波エコーの品質は酸化スケール層の定常性に左右され、それは任意のボイラー管の各点においてバラツキが起こり得ます。ある点で使用可能なエコーが得られない場合は、近傍の別の点を試みてください。また、E110-SB探触子には、探触子面とボイラー管の表面の間の距離を変える可変絶縁体が内蔵されています。この絶縁体距離を調整して、多くの場合でエコーの反応を最適化することができます。

(a) 38DL PLUS超音波厚さ計: E110-SB探触子38DL PLUSに1/2XA/E110アダプターと共に使用され、プローブの識別と適切な信号状況に必要な追加のハイパスフィルターが提供されています。アダプターを接続すると、厚さ計は自動的にEMATのデフォルトのセットアップ、DEFM1-EMAT/E110を選択します。全ての厚さ計セットアップと同様に最適な精度のために、2点速度/ゼロ点較正を既知の厚さの薄い参照基準と厚い参照基準において実施するべきですが、その様な基準が利用可能ではない場合は、通常は開始点としてデフォルトのセッティングで十分です。厚さ計上のゲインとエコーのブランキングを必要に応じて調整して、エコー検出を最適化します。EMATのデフォルトセットアップでは、38DL PLUSは全波整流波形を表示します。この典型的な波形表示を図3に示します。



図3 -- 典型的な整流EMAT波形
困難な測定条件下で有用なより詳細な波形の形状については、厚さ計のセットアップメニューからRF表示を選択してください。EMAT測定からの典型的なRF波形を図4に示します。 4.


図4 -- 典型的なEMAT探触子のRF波形


(b) EPOCH XTEPOCH LTCEPOCH 600EPOCH 1000: EPOCHシリーズ探傷器用の典型的なEMAT入門セットアップおよび波形を図5に示します。EMATを伴う低周波数ノイズを除去するためにバンドパスフィルターを常に使用する必要があることに注意してください。また、せん断波周波数は酸化スケールの厚さで変化するため、EPOCHの矩形波の周波数を最適なエコー反応のために必要に応じて調節する必要があります。


図5 -- 典型的なEPOCH波形とセットアップ

この用途に使用される製品

38DL PLUS

航空機エンジン検査認承:GE DFO P3TF22, P3TF30, P3TF31, P3TF35

EMAT探触子

EMAT探触子は、超音波の送受信に磁気歪み効果を応用した一振動子の探触子です。

EPOCH 1000 シリーズ

フェイズドアレイ機能(断面映像化)を搭載した高性能超音波探傷器です。

EPOCH 600NEW

高い性能と使いやすさにこだわった「ハイクオリティ&ユーザーフレンドリー」モデルの超音波探傷器です。

EPOCH LTC

わずか0.96 kgの堅牢でコンパクトな超音波探傷器です。マルチカラーVGAディスプレイ、PC用USB On-the-Go ポート、ダイナミックDAC/TVGは標準装備です。

EPOCH XT

数多くの機能を標準装備した高性能な超音波探傷器です。調整可能な矩形波パルサー、選択可能な狭帯域および広帯域のデジタルフィルターなど。

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